この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第104章              

 信頼――結婚も出産も子育ても許されない兄妹の2人には、それこそが一番大事で “互いの繋がりを確かめ合える唯一のもの” なのに。

「……いや。今日のは……、お前のせいじゃ、ないし」

 確かに、今日のはアレックス1人の暴走だった気がするが、ヴィヴィはそれは考えない事にした。

 彼をすぐに振り払えば匠海は満足しただろうが、それでは楽しいあの場が、台無しになってしまっていただろうし。

「許して、くれる?」

「うん。ごめん、大人げなくて……」

 そんな可愛い返事を寄越して来た匠海に、ヴィヴィの小さな胸がきゅうんと疼いた。

(ああ、もう何て可愛いんだろう――っ)

「ううん。ヴィヴィだって同じ状況だったら、もうメラメラ嫉妬したもんっ!!」

 ヴィヴィはそう喚きながら、兄の首に縋っていた両腕を解き、匠海の顔の前でその細い指をわきわきしてみせた。

(お兄ちゃんが他の女の人を熱く抱擁していたら、ヴィヴィ、その場で絶叫するか、引き剥がすか――う~ん、あんまり考えたくないな)

「だろう――?」

 妹の言葉に同意した兄が、くるりと端正な顔をこちらに向けてくる。

(あ、やっとこっち、見てくれた……)

 その表情はまるで拗ねた少年の様。

 6歳も年上で立派な社会人で、彫りの深い兄の顔に浮かぶのは、紛れもない嫉妬と、無理やり奪ってしまった妹の躰に対する、幾ばくかの後悔の念。

 兄のきりっとした二重目蓋の奥の瞳を覗き込んだヴィヴィは、にっこりと微笑んだ。

(もう、甘えん坊なんだから……。可愛い♡)

「うん。お兄ちゃん、お風呂入ろう?」

「え……? あ、ああ……」

 いきなり方向転換する妹の言葉に、匠海は呆気に取られたようにそう頷く。

「でね……?」

 そう続けたヴィヴィだったが、さすがに恥かしくなって。

 匠海の耳に唇を寄せて囁いたのは、更に兄を求める甘い誘い文句。

「それでね……、もう一度、ヴィヴィの事……、愛して、くれる……?」

(あんな怖い顔したお兄ちゃんじゃなくて、ヴィヴィの大好きな幸せそうな顔したお兄ちゃんに、ヴィヴィ、愛されたいの)

/2774ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ