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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第105章
BST 卒業式から、ちょうど1週間後。
3月8日(月) 13時を2分過ぎた頃。
双子のいる松濤国際SCは、歓喜の声に満ち溢れていた。
「よくやったっ お前ら本当に、よく頑張ったよ……っ」
溢れ出る感情を押し殺すかの様にそう発したのは、いつも厳しいサブコーチで。
双子と、双子チームのメンバー、大学生で春休み期間のリンクメイト達、そしてスケ連の関係者まで揃っていた。
皆の手にはクラッカーの残骸が握られており、それは先程けたたましく鳴らされたばかりだった。
本日の13時――東京大学のHPで、前期試験の合格者発表が掲示された。
その結果、クリスもヴィヴィも、2人とも第1志望の東大文科Ⅰ類に、見事一発合格を決めたのだ。
母でもありコーチでもあるジュリアンは、号泣して言葉にならない様で。
クリスはいつも通り、飄々としているし。
そしてヴィヴィはといえば、
「……ヴィヴィ、が、東大生……?」
そう呟いたきり、椅子の背もたれに凭れ掛かって、ひたすら呆けていた。
(ヴィヴィ、が……東大生……。こんなお馬鹿なヴィヴィが、東大生……。……日本でトップの偏差値の、と・う・だ・い・せ・い……っ …………ふ、ふへっ ふへへへへへっ ✲゚ฺ*:。ヽ(≝∀≝)ノ✲゚ฺ*:。)
そう、気持ち悪い笑いを、心の中で噛み絞めていた。
「凄い……。慶応GIRLどころか、東大生……。ウソだろ……」
「俺、クリスはともかく……。正直ヴィヴィには、無理なんじゃないかと思ってた……」
柿田トレーナーと牧野マネージャーの、その失礼過ぎる発言も、頭の中がお花畑状態のヴィヴィには全然入って来ていなかった。
「うふっ *゚ฺ✿うふふふ……❀ ゚ฺ* ぐふ……゚ฺ*:。✿ ぐへへへっ☠」
徐々に気持ち嗤いへと変わっていく妹を、クリスはその金色の頭に拳骨を落として止めさせた。
もちろん、全然痛くなどなかったが。