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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第105章
「ほら、ヴィヴィ、立って……」
クリスにそう促され、ヴィヴィは慌てて立ち上がる。
「ええと……。本日やっと、僕達の進路が決定しました……。この1年半、スケートは勿論、日々の生活面、スケジュール調整、健康管理、そしてメンタルまで……。あらゆる面で支えて貰って、僕もヴィヴィも、本当に皆さんに感謝しています……。本当に、ありがとうございました……」
クリスのそのしっかりとしたお礼に、ヴィヴィも続けて「ありがとうございましたっ!」と礼を述べると、双子は揃ってぺこりと金色の頭を垂れた。
ぱちぱちと送られる暖かな拍手に、双子は頭を起こして見つめあい、ぎゅっと熱い抱擁を交わす。
「クリスの、おかげ……っっ」
「ううん……。ヴィヴィが、頑張ったんだよ……」
そう囁き合った双子は、抱擁を緩めて互いの嬉しそうな表情を確認すると、また強くハグしたのだった。
「よっし! これで双子は取材規制撤廃よね? どんどんじゃんじゃん、マスコミ露出、して貰うからね? 後、今シーズンのアイスショー、全部休んだんだから、来シーズン、馬車馬のように働いて貰うから! 覚悟しておいてね?」
そんな恐ろしい事を発してきたスケ連スタッフの隣で、牧野マネージャーも「うんうん」と大きく頷いて同意している。
「え、えっと……。ヴィヴィ達、大学進学しても、結構勉強、大変だと思うんですけど……」
なにせ天下の東大だ。
入学したら遊び呆ける、何て事はありえなくて。
将来希望の学部に進む為には、常にトップグループの成績を維持しておく必要があった。
「知りません、聴こえません、存じ上げません。とにかく明日大学へ行って、 “双子の東大合格” をマスコミに露出していいか、許可取って来なさい。さあ~~てっ これから忙しくなるわねぇ~?」
話を一方的に打ち切って、スケ連本部へと電話しに行ってしまった彼女に、双子は呆気に取られたのだった。
ランチを挟み、昼過ぎまでレッスンを受けた双子は、その足でBSTへ合格報告に向かった。
担任をはじめ、もう教諭陣は大喜びで。
館内放送で呼び出された幼稚舎~高等部の教職陣に、盛大に祝って頂いた。
学園長は「う、うちから、2名も東大生が……っ」と、終始呆けていたのだった。