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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第105章          

(ふんだ……。お兄ちゃんの変態っ 最近ヴィヴィの事、凄くえっちな子扱い、するし……っ)

 ぷうと頬を膨らませて拗ねるヴィヴィのその肢体を、匠海は後ろからゆっくりとその胸の中に抱き寄せてきた。

「ごめん。調子に乗った」

「………………」

「許して、ヴィクトリア」

「………………」

 兄の言葉をずっと無視し続けるヴィヴィだったが、背中とお尻に触れる匠海の躰が、とても暖かくて、逞しくて、守られていると感じる程、ほっとして。

「ね。お前の愛らしい声で「おやすみなさい」って聞かないと、お兄ちゃん、眠れないよ?」

 後ろから耳に吹き込まれる兄の可愛い催促に、ヴィヴィは匠海からは見えないところで、にやりとほくそ笑んだ。

「……おはようございます、お兄様……」 

(どうぞ、一晩中起きてて下さい。もちろんヴィヴィは寝ますけどね。ふんだっ)

「…………っ こらっ 「おやすみなさい、おにいちゃま」って言うまで、寝かさないぞ?」

 ヴィヴィを抱き込みながらそう喚いた匠海は、その後ちょっかいを出してきては、本当に寝かせてくれなくて。

 さすがに性行為の後とあって眠いヴィヴィは、ぐったりして とうとう兄の求める言葉を吐いた。

「お、おやすみ、なさい……、お、おにい、ちゃま……っ」

 幼児じゃあるまいし、そんな呼び名で兄を呼ぶ事に、ヴィヴィは物凄く恥ずかしくて瞳の下を薄紅色に染めた。

「ああ、よく言えたね。いい子だ」

「……~~っ」

 満足そうな兄に対し、ヴィヴィはなんだか惨敗した気がして悔しくて。

「おやすみ、ヴィクトリア。俺の夢、見てね」

 ヴィヴィを自分の方へと向き直させた匠海は、そんな甘い睦言を囁いてきたのだが、

「…………やなこった」

 そう可愛くない返事を寄越した妹に、匠海は心底楽しそうに笑っていたのだった。





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