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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第105章
翌日、3月9日(火)。
いつも通り早朝からリンクへ向かった双子は、ランチを挟んで昼過ぎには終え。
そして駆け付けた牧野マネージャーと一緒に、東京大学へと向かった。
前期合格発表日から1夜明けたこの日から4日間、入学手続きをしなければならず、3000人超の合格者がその4日に渡ってここへ押し寄せる事となっていた。
ただ、双子と牧野はその合格者達とは異なり、いきなり総長室へと通された。
東京大学の総長(一番偉い人)濱田氏は、ロマンスグレーで眼鏡をかけた、人好きのする温和な男性だった。
彼の対面のソファーを進められて腰を下ろした3人に、濱田総長は畏まって口を開いた。
「この度は、君達がこの学び舎で更に成長出来る手助けが出来る事を、我々教職陣一同は、大変嬉しく思っています」
「「ありがとうございます」」
その嬉しい言葉に双子は顔を見合わせ、東大生になった自覚をより深くし、そう礼を述べた。
けれど、
「……て、堅苦しい話は無しにして。とっても嬉しいよ! なんたってオリンピックの金メダリストが揃いもそろって、うちに来てくれるなんてさ! はっはっは!」
いきなり豪快に笑った濱田総長に、双子と牧野はぽかんとし、
「「「は、はあ……」」」
「あ、今日から幾らでも公言していいからね? 「僕達、東大生です」って。あ、でも、構内で撮影等する時は、事前に広報室に届け出するように!」
びしっと親指を立ててそう許可を与えた総長に、牧野が戸惑いながらも口にする。
「あ、それはもちろん、そうさせて頂きます」
牧野の返事にうんうん頷いた総長は、さらに砕けた物言いで双子を交互に見比べる。
「で、さあ……。その変わりと言っちゃなんなんだけど。キミ達、うちの大学のスケート部の所属にならない?」
「「え……?」」
「いやさあ、うちにもあるんだよね~、スケート部。インカレで入賞するかしないかくらいの、レベルだけど。あ、バッジテスト7級持ってる子、1人いるらしいけどね?」
「「はあ……」」