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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第105章
家族で旅行に行く際、初等部までは、両親で1室、双子&匠海で1室、だったのだが。
双子が中等部に上がった頃から、匠海&クリスで1室、ヴィヴィで1室、と変化していた。
まあ、クリスとは高等部の間も彼の部屋で一緒に寝たりしていたので、別に違和感は無いが。
「クリス、先にバス使っていいよ?」
「ヴィヴィ、先、どうぞ……?」
互いにお風呂を譲り合った双子だが、ヴィヴィは手を伸ばし、クリスの瞳の下を指の背で撫でた。
「でも、クリスの方が眠そう」
(クリス、対外的な場に出るの苦手そうだから。ヴィヴィなんかよりストレス、溜まってそう……)
「……確かに。じゃあ、入ってくる……」
そう言って腰を下ろしていたベッドから立ち上がったクリスは、ヴィヴィの頭をポンと撫でてバスルームへと入って行った。
明日着る服をクローゼットに掛け、入浴準備も終えたヴィヴィは、スマホを片手に部屋の隅のソファーにぺたりと座り込んだ。
折り畳んだ両脚の上にクッションを乗せ、その上に両肘を付いたヴィヴィは、来ていたメールに目を通し。
(こんな深夜に、すまぬ……)
そう心の中で謝りながら、返事を返した。
もちろん真っ先に返信したのは、兄の匠海に対してで。
双子の体調を心配する、まるで保護者な内容に苦笑し、
『ヴィヴィは、とっても元気だよ~。
クリスは眠そうだけど、いつもそうだし(笑)
明日 家に帰って、お兄ちゃんがぎゅってしてくれたら、
ヴィヴィ、もっと元気になっちゃう♡』
そんな甘ったるいメールを送れば、数分後に帰ってきた返信に、ヴィヴィは頬を染めた。
『さっきテレビでお前達を見て、元気そうで安心した。
明日はぎゅ どころか、全身マッサージをしてあげよう。
追伸 : ヴィクトリアに拒否権はありません』
(ぜ、全身マッサージって……っ お兄ちゃん絶対、マッサージだけじゃ、終わらないくせに……っ)
きっとあの手この手で自分を翻弄して楽しむであろう兄のその姿を想像し、ヴィヴィの薄い腹の奥がきゅんと疼く。
「…………っ」
双子の兄がお風呂に入っている最中に、そんなイカガワシイ事を妄想してしまった自分に、ヴィヴィは深く反省したのだった。