この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第26章                           


 皆に見送られながら、匠海の車はスムーズに篠宮邸の門を出ていく。しばらくしてヴィヴィは目の前のナビを覗き込んだが、目的地はセットされていなかった。

「どこへ行くの?」

「内緒」

 車は最寄りのICから首都高へと乗り込む。首都高から中央自動車道へ。二十分ほど高速を走り、下りたのは調布ICだった。

「調布飛行場?」

 真っ先に目に飛び込んできた看板をそのまま読み上げてみる。

「ではない」

「ん~……国立天文台……?」

 次に視線の先に現れた交差点の標識を読み上げる。なんだか宝物探しをしているようで楽しい。

「あはは……。はずれ」

 匠海はそう言うと、その交差点の手前で左折した。

(航空宇宙技術研究所……?)

 ヴィヴィはまた現れた看板を心の中で読み上げて首を傾げる。道は未舗装の土の道路に代わっていく。そしてその先――ぱっと開けた視界の先に現れたのは、東京とは思えないような緑の牧草地。数軒建つ建物の奥には馬のシルエットが見える。

「あ……!」

 やっと匠海の行先を察知したヴィヴィは、小さく声を上げた。そんなヴィヴィを横目に見ながら、匠海は駐車場へと車を止める。ヴィヴィは匠海が空けてくれた助手席のドアから外に出た。

『東京大学運動会馬術部』

 そう彫られた木の看板に駆け寄り心の中で読み上げると、後ろからついてきた匠海を振り返る。

「お兄ちゃん……馬術、続けてたんだ?」

「いや、続けてないよ。知り合いがいるから、たまに乗らせてもらってるだけ」

 おいでと言われて匠海の後をついていくと、厩舎の隣に作られたログハウス風の部室の前にまわる。ウッドデッキに配されたテーブルでなにやら作業をしていたらしい男子生徒が、匠海に気づいて顔を上げた。

「篠宮さん!? お久しぶりです!」

「久しぶり。少しお邪魔させてもらうよ。高原いるかな?」

「部長? 三十分前位にチャリンコでお昼食べに行っちゃいましたよ」

「なんだ。十三時に着くって連絡しておいたのに、相変わらずだな~」

「あはは、いつものことですよ~。あれ……そちらの可愛い子ちゃんは、もしかして――っ!?」

/2774ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ