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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第105章
今日もコーチであるジュリアンに、ちょこちょこ質問したりしていた太一は、心底嬉しそうだった。
「………… “おたく” って、引かれないでね……」
ぼそりとそう “鬼妹発言” をした円に、太一は途端にがくりと項垂れ。
そんないいコンビの真行寺兄妹に、そこにいた皆は大いに笑ったのだった。
そして翌日、3月28日(日)。
「何で、日曜に?」
「さあ?」
「……なんでだろ……?」
双子と円はそう言い合いながら、東大に来ていた。
東大の生協が主催するオリエンテーションに参加する為だ。
駒場キャンパスの生協食堂の2階で、オリエンテーションを受けた3人は、必修教科の教材を買い込み帰ろうとしたのだが。
まるで新入生の行く手を阻むように現れた在校生による “運動会主催・フライングオリエンテーション” なるものが始められてしまった。
要するに、サークルへの勧誘活動だ。
強制的(?)にスケート部への入部が決められた双子は、興味本位に一連のやり取りを見ていたのだが、円はどのサークルに入ろうか、興味津々のようだった。
「ヴィヴィも、自分で選んで、入りたかったな~……」
ぽそりとそう呟いたヴィヴィに、クリスは不思議そうに口を開く。
「別に、入ればいいんじゃない……? スケート部は、月・金曜日だけ、だし……」
「そっか……」
ヴィヴィはそう頷いたものの、今日来ている運動会系のサークルにはあまり興味もなく。
30分ほどしてやっと解放され、円と別れてリンクへと向かったのだった。
続く29日(月)も東大に赴いた双子は、2時間も掛かって健康診断を受けた。
その後、学生証や夏学期の時間割等を貰い、「東大生になったんだな~」と実感し。
ドキドキ(?)のクラス分け発表では、当たり前だが双子は同じクラスになり。
何と、円も同じクラスになった3人は、もろ手を挙げて喜んだ。
なにせ文科Ⅰ類とⅡ類合同で27クラスもあるため、さすがに同じクラスは無理だろうと諦めていたのだ。