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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第105章
6人しかいない女子は、すぐみんな意気投合し。
そしてヴィヴィが少し心配していたクリスも、時間が経つにつれてぽつぽつと会話を交わす男子が増え、終わる頃には数人と仲良くなっていた。
30人もいると、誰かがリーダーシップを発揮し始め、テニス経験者は皆に必勝法を教えたりと、少しずつクラス独自の色が出てくる。
そして2年生の勧めもあり、1年生の “シケ長” なるものが決定された。
シケ長――試験対策委員長とは、これからの試験の為にクラスごとで “シケプリ(試験対策プリント)” を作り、皆で共有する、その責任者の事。
科目ごとにほぼ強制的に決められたシケ対(試験対策委員会)の中には、超天才児のクリスと、責任感の強い円の名前も入っていた。
「……手伝ってね?」
そうぼそりと囁いてきたクリスに、ヴィヴィは「役に立つか知らないけど、手伝うわ~」と苦笑したのだった。
これから1泊し、明日もテニスを楽しむクラスメイトと2年生に泣く泣く別れを告げ、双子はリンクへと向かい滑り込むのだった。
1日あけて、4月2日(金)。
また東大にいた双子は、
(まだ入学式もしてないのに……。なんか、しょっちゅう大学、いるなぁ……)
と思いながらも、学部ガイダンスに参加していた。
職員から施設利用や履修関係に関する説明や、選択教科の教科書購入に関する説明等、真面目に聞かなければならないのに、ヴィヴィは若干うとうとし。
円とクリスに両サイドから代わるがわる突かれ、起こされていた。
学食でランチを取り、午後からはサークルのオリエンテーションが始まる。
各教室のブースでは収まらず、銀杏並木まで新入生を勧誘する先輩が溢れていた。
そして自分達のサークルをPRする立て看板やビラは、全て英語表記だ。
実は、東京大学は “世界の東京大学” となるべく、6年前から英語による講義が行われていた。
6年前――ちょうど匠海がこの学び舎に入学した年だったが、結構大きなニュースとしてテレビでも取り上げられていた。
日本一の偏差値を誇るにも関わらず、世界大学ランキングではいつも20番台。
危機感を覚えた大学は、留学生の招聘も兼ねて、英語公用語に踏み切った。