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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第105章

あれから7ヶ月――。
寒い冬も乗り越え、こうやって美しい花を咲かせてくれた薔薇達に、ヴィヴィは誰からも是とされぬ兄妹の恋路を、少なからず祝福された気がした。
5月5日(水)。
前日の10:13にデトロイト空港を発った双子は、シカゴ・オヘア空港経由で翌日のこの日、16:30に成田に帰り着いた。
リンクに直行し、新しいプログラムを待ち侘びていたコーチ陣の前で、それぞれFPを滑ってみせれば、その出来栄えに皆が感嘆の声を上げ、ヘッドコーチのジュリアンも満足そうな笑みを浮かべていた。
長時間の移動でさすがにお疲れの双子は、20時には屋敷に帰り着き。
簡単に荷解きしたヴィヴィは後を朝比奈に任せ、風呂を使って早々に寝室に下がった。
その2時間後――。
ヴィヴィは自分の頭を撫でてくれる暖かな掌により、覚醒を促された。
仮眠で幾分すっきりした頭で相手を見上げると、ベッドに腰掛けてこちらを見下ろしているのは、スーツ姿の匠海。
「……おかえり、ヴィクトリア」
7日ぶりに見た兄の微笑みに、ヴィヴィの可愛らしい顔がくしゃりと歪む。
「……っ ……おにぃ、ちゃ……っ」
「おっと。どうした? ……寂しかったのか?」
そう驚きながら横たえたままの躰を抱き起してくれる匠海に、ヴィヴィはきゅうとその胸に縋り付く。
「あ、会いたかった……のっ」
デトロイトでの日々は、新しい発見があったりと刺激的で、とても素敵な時間だったが。
やはり匠海といられる日々の方がヴィヴィは愛しくて、少しでも離れてしまうと兄が恋しくてしょうがなかった。
「うん。俺もだよ」
嬉しそうに囁きながら抱き締めてくれる匠海に、ヴィヴィは己の全てを兄に預け。
そしてそう出来る様になったこの2人の関係に、心の中で感謝の言葉を唱えていた。

