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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第105章
「え……、ほんと?」
尋ねた本人が驚いている可笑しな状況に、匠海は瞳を細めた。
「ただし、ちょっとだけ、な?」
「う、うん……っ」
実はヴィヴィは、最初からそうしたいと思っていた。
何せ今日は、匠海の誕生日。
いつも自分を全力で愛してくれる兄を、ヴィヴィも何とかして気持ち良くしてあげたいと考えていたのだ。
抱擁を解いた匠海はシーツの上に膝立ちになり、その前にぺたりと座り込んだヴィヴィの可憐な姿を、愛おしそうに眺め下していた。
ヴィヴィはというと、自分の目の前にそびえ起つもののあまりの逞しさに、若干腰が引けていた。
けれど、匠海のそれはもう数えきれないぐらい、自分を愛してくれた愛おしいもの。
「最初はそうだな……、頬ずり、してみてごらん?」
兄の囁きに、ヴィヴィはゆっくりと昂ぶりに手を添えると、自分の頬をそこに当てすりすりと擦り付けてみた。
他の皮膚とは違った、より柔らかで伸縮性に富んだそこは、気持ちの良い肌触りで。
無心に頬ずりを続けていたヴィヴィがちらりと兄を見上げれば、優しい瞳で見下ろしている匠海と目が合い、薄い胸の奥が震えた。
「指で、撫でても、いい……?」
そうお伺いを立てれば、匠海はこくりと頷いて返す。
寄せていた頬を離し、指の腹で先に近い方を撫で擦れば、まるでぴくぴく怯えているみたいに、兄の昂ぶりは震えて。
ヴィヴィは匠海のしか知らないが、色素の薄い兄のそこは薄紅色で、大きくて、なんだか――、
「…………カワイイ……♡」
ぽそっとそう呟いたヴィヴィに、自分の頭を撫でていた匠海の手が止まった。
「…………、ヴィクトリアさん……。俺のこれが “可愛い” ってことは、君は “もっと大きい方がいい” ってことかな?」
何故か物凄く不服そうに発しながら見下ろしてくる匠海に、ヴィヴィは何を言われているか分からず、ぽかんとする。
「……へ……? 何のこと?」
( “カワイイ” と “大きい” に、何の関係が……?)