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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第106章
その後、数日掛けて振付を熟考してエキシビを完成させた母娘は、やいやい言い合いながらも楽しんで、その衣装もデザインしたのだった。
そしてその傍には、まるで甘える様にクリスがその長身を傾け、2人の様子を覗き込んでいたのだった。
5月8日(土)。
夕刻から始まった篠宮3兄妹の誕生日パーティーには、50名もの招待客が集っていた。
1日にクリスが、2日にはヴィヴィが18歳になり。
5日には匠海が24歳になった。
匠海の招待客は――、
東大馬術部に籍を置いている、同級生で農学生命科学研究科・博士課程の高原。
同じ経済学部の同窓生4名。
真行寺 太一を含め、彼と同じく企業の跡取り子息や、起業した青年実業家が4名。
双子の招待客は――、
BSTの同窓生で関東圏にいる10名。
東大のクラスメイト、女子5名全員と男子5名。
リンクメイトに、フィギュア関係者等々。
『もう、18歳だし、大学生だし。今年は大人っぽいアレンジメントがいいな~?』
そのヴィヴィの希望通り、今年のパーティー責任者の五十嵐は、アンティークな雰囲気を作り上げてくれた。
紫とベージュ、藍色とグリーン、それぞれのグラデーションがシックなアジサイは、会場となる1階フロアのそこかしこを彩り、皆の目を楽しませてくれていた。
ちなみに1階フロアは、応接室、ライブラリー、リビングルーム、ダイニングルームをぶち抜きで使用し、休憩用に防音室を提供し、総勢50名の来客に対応していた。
ヴィヴィは5月に相応しい、若草色のロングドレスに身を包み、皆を出迎えた。
華奢な肩のラインを美しく見せるオフショルダーのそれは、胸下に色味の深い金色の細リボンが巻かれ、その下はストンと床まで流れ落ちる清楚なシルエット。
そしてクラシカルな纏め髪のワンポイントは、2シーズン前のSP『ペール・ギュント』の髪飾りであった、10cm大の薔薇。
この花飾りと同じ薔薇が、今は広い庭園で今宵の客を美しく迎え入れてくれていた。
夕暮れから夜にかけて催されるパーティーに、成人した客はアルコール片手に楽しげだった。