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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第106章               

 双子の友人達も「もう高校生じゃないし?」とアルコールに手を伸ばそうとしては、朝比奈をはじめとする使用人達に「駄目です」と窘められていた。

 それはひとえに “双子に飲酒疑惑が掛からない様にする為” である。

 双子はこれでもトップアスリート。

 万が一、飲酒疑惑が浮上したら、最悪、謹慎・試合の出場停止・強化選手登録から抹消という、手痛いペナルティーが科せられる恐れがある。

(っていうか……。ヴィヴィ、真行寺さんの部屋で、缶チューハイ、飲んじゃったけどね……)

 人知れずぺろっと舌を出しながら、ヴィヴィは久しぶりに会ったBSTのクラスメイト達と楽しんでいた。

「あ! 2人とも、予備校のCM見たよっ」

 慶応大学に進学したカレンがそう口火を切れば、皆がやいやいと騒ぎ始める。

「あ~~、あったねえ、そんな事も……」

 入学式のあった週とその翌週、大学を早退してまでも撮りに撮った各社のCMの中に、双子が在籍していた京進ゼミナールのものがあった。

 以前から全日本フィギュアの協賛の一社でもあったが、双子のスポンサーにもなってくれたのだ。

 東大の赤門前で、ヴィヴィは、

『諦めたくなかった――、スケートも、将来の夢も。力を貸してくれたのは、京進の長年積み重ねた合格メソッド。自分の生活スタイルに合わせ、無理なく学習が続けられました。もちろん、クリスのお陰もあるけどね(笑)?』

 そして、クリスは、

『色々、分析したんです――、どの予備校にしようかと、考えている時。京進が一番合理的で、かつ短期間で成果が上がる――そう選択したのは間違いじゃなかった。自信を持ってお勧めします』

 双子はそれぞれコメントし、予備校の担任と握手するという内容だった。

(あれ、恥ずかしかったな……。赤門前で、在校生にじろじろ見られて、冷やかされて……)

 ヴィヴィは全然テレビを観ていないのだが、さっそくそのCMが放送されているらしかった。

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