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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第106章               

「あと、大塚薬品工業の新サプリのCMもあったろ? それに――」

 早稲田大学に進学したアレックスが、くりんくりんの巻き毛をかき上げながらそう言えば、皆が口々に双子のスポンサーの名を挙げ、

 ・菓子メーカー:gruco

 ・生活用品メーカー:P&J

 ・健康器具メーカー:タニダ

 ・日本国際航空

のそれぞれのCMについて話し出した。

 実は、それ以外にもスポンサーに名乗りを上げている企業がいて。

 なにせ、来年はオリンピックシーズン。

 各社とも宣伝効果の高い双子に、早くから目を付けている様だった。

「……笑うの、困った……」

 ヴィヴィの隣でそう零したのはクリス。

 CM撮影となると、「笑って! にっこり、楽しそうに」「美味しそうに見えるように、微笑んで?」と色々要求されるのだが、氷を降りると無表情のクリスには、耐え難い苦行だったらしい。

 友人達に散々からかわれたクリスは、それでも常よりも楽しそうに語り合っていた。

 そしてヴィヴィはというと時折、匠海の視線を感じていた。

(……アレックス……、来てる、から……?)

 クリスの親友のアレックスは、もちろんこのパーティーにも呼ばれていて。

 卒業プロムであんなに大胆な愛の告白をした彼は、昔と変わらず幼馴染としてヴィヴィにも接してくれていた。

 けれど、匠海は意外や意外、嫉妬深いようで。

(ヴィヴィは、お兄ちゃんしか、見てないのに……ね……?)

 ただ、自分も兄と同じ立場だったら、同様に焼きもちを焼いてずっと監視していただろうから――まあ、似た者同志なのだろう。

 そんな匠海は、襟幅の細い白のショートカラーが粋な焦茶のシャツに、深いベージュのベストとパンツを纏っており、彼の肩幅の広い体躯をより一層スタイル良く見せている。

 そしてクリスは、紺地に緑のラインが入ったウィンドウ・ペン(窓枠状の大きな四角形のチェック柄)のジャケットに、濃紺のシャツ、白のパンツと爽やかに決めていた。
 
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