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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第106章
東大のクラスメイト達――塩川や三宅は、
「ずっと跳ねながら弾いてる感じで、鳥肌……」
「腕、交差しとったやんけ?」
と驚いていた。
で、肝心の言い出しっぺの振付師の宮田はというと、もうヴィヴィに興味を無くした様に、ワイン片手に匠海と喋っていた。
(うぉ~~い……。貴方の為に、恥を忍んで弾いたんですけど? 宮田先生……orz)
がっくりうな垂れたヴィヴィの肩を、クリスが「よしよし」と撫でていたのだった。
招待客を送り出し、その玄関ホールでほっと息を吐いた3兄妹は、互いに顔を見合わせて苦笑した。
「ヴィヴィは誕生日プレゼント、何をおねだりしたんだ?」
匠海のその質問に、ヴィヴィは瞳を細めながら口を開く。
「うふふ、秘密~~!」
毎年(高価でない)服やアクセサリーをおねだりしていたヴィヴィだったが、今年は少し毛色の異なったプレゼントを両親にお願いしていた。
そしてヴィヴィからも、父にある提案をしていた。
「クリスは?」
「……Secret……」
妹と同じく秘密にしたがる弟に、匠海はオーバーに両肩を上げてみせる。
「なんだ、2人して。秘密主義だな?」
「兄さんは……? 何、おねだりしたの……?」
クリスのその問いに、匠海は「あははっ」と声を上げて笑う。
「俺は20歳超えた時から、もう誕生日プレゼントは強請ってないよ」
「まあ……。大人ぶっちゃって、や~ね~、クリス?」
まるでその辺の主婦の井戸端会議の様に、手首から先をクリスに向けて振りながら発したヴィヴィに、
「ねえ……?」
そう乗っかったクリスに、匠海は「お前ら……」と嘆息し、けれど楽しそうに笑っていたのだった。