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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第106章               

 そう。

 双子は今シーズン、FPのみならず、SPも同じものを選択した。

 SP : バレエ音楽『ペトルーシュカ』

 FP : 映画音楽 『シャネル & ストラヴィンスキー』

 両者に共通するもの――それは、ストラヴィンスキー。

 当初、ヴィヴィはFPの題材は決まっていたものの、SPは全く当てがなくて。

 そんな時にクリスが提案してくれたのが、『ペトルーシュカ』。

「どうせなら……、両方とも、ストラヴィンスキーに、トライしてみたら……?」

 そのアドバイスに「すっごい名案! ヴィヴィ、絶対そうするっ」と乗ったヴィヴィに、何故かクリスまで「じゃ……、僕もそれで……」と乗っかってきたのだ。

 かくして、双子で同シーズンにSPもFPも同じ題材を扱う事になり、スケ連は当初、いい顔をしなかった。

 今シーズンは五輪の前シーズン。

 今期の世界選手権の結果によって、来期の五輪で日本が何枠取れるかが懸っているのだ。

 だが、クリスの下記の説得と、

「僕達は常に傍に居て、リンクでも互いの演技を観ています。ペトルーシュカ(クリス)の恋い焦がれるバレリーナ(ヴィヴィ)が目の前で滑っていて、バレリーナが誘惑するペトルーシュカも傍で滑っている。それはFPのシャネルとストラヴィンスキーも然り――つまり僕達が同時期に同テーマを扱う事は “相乗効果” というプラス面はありさえすれ、マイナス面は有り得ません」

 そして、ヴィヴィの下記の説得、

「それに、SPもFPもストラヴィンスキーを取り上げるのは、とても効率が良いと思うんです。2人とも毎回題材に関して調べまくり、演技に反映させています。両方ともストラヴィンスキーというのは、より深く学べて無駄が無いし、その一貫した姿勢は、必ずやジャッジに響くと思います」

 双子のその頑張りで、最終的にはスケ連及びスポンサー等から「GO」の合図が出た。
 
 その様な経緯で、ヴィヴィは前半はモダン・バレエを、そして12月からはロマンティック・バレエを学ぶ事になった。




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