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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第106章
・枝豆
・新鮮野菜のシーザーサラダ
・お造り四種盛り合せ
・鶏もも串炙り焼
・揚物三種盛り合せ
・海鮮陶板焼
・冷しおろしそば
・デザート
という典型的な居酒屋コース料理を、あまりカロリーオーバーにならない様につまんでいたヴィヴィは、初めて食べる枝豆と焼き鳥が、いたくお気に召し。
あまりにヴィヴィが枝豆ばかり食べるので、各テーブルからはいつのまにか枝豆のザルが集めら、目の前に並べられていた。
といっても、最下級性なので前に並んで自己紹介させられたり、初めて会うOBに挨拶やお酌をしたりと忙しかった。
特に自己紹介では「なんかやれ!」コールが、新入生4人に降りかかり。
困ったヴィヴィは、濱田総長のものまねを即席でやり「に、似てないにも程があるっ」と突っ込まれ。
クリスは蟹江主将の “劇団員ばりの喋り方” をものまねし、大喝采を浴びていた。
会も終盤に差し掛かった頃、会計の石渡が立ち上がり皆の注意を引く。
ぴっちり七三に分けた黒髪に、縁無しのメガネ姿の石渡は、モノトーンの上着を大きく広げて口を開いた。
「え~~、NIKEからウィンドブレーカーの試作品、上がってきました~」
その言葉に、26名が一斉に騒ぎ始める。
「うわっ 出来たんか! 見せろみせろっ」
「やっぱ、モノトーンにして、正解だったな~」
「そう? 私は東大カラーの淡青(ライトブルー)も、良かったな~」
がやがやと意見が飛び交う座敷の中、座布団にぺたんこ座りをしていたヴィヴィは、じい~と試作品を見つめていた。
立て襟から胸上までは黒で、その下はグレー。
脇の下から両腕の内側に伸びる、モノトーンの迷彩柄がワンポイント。
左胸には 東京大学 と漢字で入っており、黒一色の背中には、白字で下記の文字が入っていた。
Figure Skating Club
The University of TOKYO
http://www.ukfsc.jp/
右腕全体にも大きく http://www.ukfsc.jp/ と、アドレスが印字されているのもカッコいい。
「ちなみに、表裏リバーシブルで、裏側は白バージョンです」
そう言いながら表裏を返した石渡に、皆から「おぉ~~っ」とどよめきが起こった。