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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第106章               

 翌日の5月21日(金)~23日(日)の3日間を使い、双子のSPの振り付けが行われた。

 ストラヴィンスキー作曲、バレエ音楽『ペトルーシュカ』。

 『ペトルーシュカ』は、ストラヴィンスキー作曲の『火の鳥』『春の祭典』と並ぶ、三大バレエ音楽のひとつ。

 ちなみに『春の祭典』は、FPの『シャネル & ストラヴィンスキー』に出てくる。

 ストラヴィンスキーの “芝居小屋の人形が、まるで命のあるものの様に動き出す” とのインスピレーションを元に、ロシアのバレエ団――バレエ・リュスの為に作曲された。

 誕生日パーティーでヴィヴィにピアノを弾かせた振付師の宮田賢二と、双子が通っているYバレエカンパニーのモダン・ダンサーの平林素子が共同で振付を行う。

 松濤のリンクで一番大きな会議室の中、双子がモダン・バレエを習っている平林素子と永口雄大が、今回の振り付けで必要になる部分を、皆の前で踊って見せていた。

「まずは、2人とも用いる、第1部 謝肉祭の市場 から “ロシアの踊り”」

 本来はペトルーシュカ(クリス)、バレリーナ(ヴィヴィ)、荒くれ者のムーア人の3体の踊るのだが、今日は平林と永口の2人だけで再現する。

 魔術師によって命を吹き込まれた藁人形が躍る様は、ギクシャクしていて「これでもか」と言うくらい “人形そのものの踊り”。

 徐々にバレリーナの踊りは上手くなり、17回連続のグラン・フェッテ(片足はつま先で立ち、もう一方の足を鞭の様に蹴り出して旋回)を繰り出す一方、その隣のペトルーシュカは、歪なジャンプや不格好なピルエット(旋回)しか踊れない。

 可愛らしいバレリーナに恋したペトルーシュカは魔術師に止められ、一方のバレリーナは勇壮なムーア人に気がある様子。

 怒ったペトルーシュカは、棒を振り回して2体を追い掛け回す。

 魔術師の魔法で3体は手を繋ぎ仲良く踊らされ、音楽の終わりと共に地面にくたりと倒れ、ただの藁人形へと戻る。

 ちなみにヴィヴィは、この “ロシアの踊り” だけをSPに使うので、習い始めたモダン・バレエを習得した暁には、これを踊れる事を目標にしている。

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