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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第106章
6月1日(火)。
いつもは7月に入ってから公表していた今期のプログラムの曲を、双子のHP上でそれぞれ発表した。
SP
ストラヴィンスキー作曲、バレエ音楽『ペトルーシュカ』
振付 : 宮田賢二 & 平林素子
FP
映画『シャネル & ストラヴィンスキー』サントラより
振付 : パスカール=カメレンゴ
2人とも同じ曲名が書かれていたので、当初見た人々は「あれ……? これ、表示ミス?」と受け取り、牧野マネージャーの所属するマネジメント会社INGに、何十件もの問い合わせが入ったらしい。
結局、すぐにHPに「 ※なお、双子とも同じ曲を使います。 」との注記を入れたらしい。
そしてそれ以上に世間を驚かせたのは、双子のFPの衣装をシャネルがデザイン面で協力する、との情報だった。
シャネルのHPにも同様のニュースが載り、本社のあるフランス・パリでは、プレス発表までしたらしい。
よってその日から、双子はテレビや雑誌の取材で、その事について聞かれまくり。
そして、(今迄に誰も使用した事の無い)その意外過ぎる選曲と、双子で同じ題材を扱うという稀有な取り組み、双子と有名振付師カメレンゴのタッグ、も大いに注目されて。
しばらくの間そのニュースは、スポーツ番組と情報番組を騒がせたのだった。
そして、ヴィヴィはその頃から、大学に登校するのが憂鬱になり始めた。
月曜から金曜まで、いつも通り5時起きでリンクへ向かい、朝食を挟んで登校時間ギリギリまでの練習。
それはBSTに通っていた頃と、ほとんど大差ない。
ヴィヴィはBSTの自由な校風が大好きだったし、幼馴染の20名のクラスメイトは勿論、下級生や上級生とも仲良く、「早く学校行って、みんなとお喋りしたい!」と毎日が楽しみだった。
東大に進学しても同様で、30名のクラスメイトは皆、気の良い人間ばかりで、腹を割ってバカ話出来る友人達も沢山出来た。
講義内容は言うまでもなく興味を惹かれる物ばかりで面白く、初めて入ったサークルも楽しく、「あ~~、東大入れて、本当に幸せ♡」と喜びを噛み締めていた。