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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第106章               

「ほら、のぼせるだろう? 続きはベッドで――な?」

「……~~~っ!?」

 こんなに煽っておきながらいきなり突き放してくる匠海に、ヴィヴィはもう絶句するしかなく。

 イスに座らせて楽しそうにヴィヴィの髪を洗い始めた兄に、

(もう……、何なんだよぉ~~)

 そうヴィヴィは心の中で喚くしかなかった。

 シャンプーもトリートメントも丁寧にしてくれた匠海は、一旦ヴィヴィをバスタブへと戻し。 

 自分は鼻歌でも歌いそうな勢いで、黒髪を泡立てて洗っていた。

 その姿をじと目で睨み付ける妹の様子に、絶対に気付いている筈なのに。

「…………イジ、ワル」

「え? 何か言った?」

 ぼそりと呟いた言葉に反応した匠海に、ヴィヴィは「何でもないもんっ」と膨れた。

 自分の髪と躰を手早く洗い終えた匠海は、またヴィヴィを湯から上げて、今度は躰を洗い始める。

 もこもこに泡立てた泡で、大きな掌で洗い上げられていくのは、もう本当に気持ち良くて。

 うっとりと兄に身を任せていたヴィヴィのお尻を、匠海がふよんと両手で揉み上げた。

「ひゃっ!?」

「ふっ “ぷりっケツ”っ ははっ」

 5月半ば、鎌倉で円にそう言ってお尻を揉まれたヴィヴィ。

 匠海はそれ以来、そのワードが気に入った様で、たまにこうやってからかって苛めてくる。

「もうっ お兄ちゃんっ!」

「はは、悪いわるい。可愛いヴィクトリアのお尻、綺麗にしてあげないとな?」

 そう謝りながらもその指先は、お尻の割れ目に這わされ、

「ひぅっ!? い、いやぁっ」

 そう悲鳴を上げながら目の前の兄に縋り付くヴィヴィの、その小さな蕾を、匠海が指先でくるくると撫でる。

「ほら、ここも綺麗にしておかないとな?」

「も、もういいもんっ 綺麗だもんっ」

 兄の腕を掴んで止めさせようとしたヴィヴィだったが、その腕はつるりとお尻から前の方へと滑らされて。

「……っ ぁ……っ」

 甘い声を上げそうになって両手で口元を押さえたヴィヴィを、匠海が覗き込みながら指先で弄ってくる。

「ここも、綺麗にしておこうね。明日、ここを発つ直前まで、ずっと可愛がってあげるから」

 そんな恐ろしい事を囁いてくる兄の言葉よりも、ヴィヴィの意識はその指先にあった。

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