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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第106章               

 2年前、16歳の双子が初出演した際、 “双子プログラム” を披露し好評を得たそのショーから、昨年も出演依頼が来たにも関わらず、受験地獄真っ只中だった双子はどうしても無理で断ってしまった。

 なので大学に合格した双子は快諾したのだが、今年も双子プログラムを依頼され、「「さて、どうしよう……?」」と考え抜き。

 結局、クリスにやりたい曲と振付師の要望があったので、ヴィヴィもそれで了承した。

 曲は、カミーユ・サン=サーンス作曲 交響詩『死の舞踏』。

 そして振付は、2011年シーズンのSD、映画『アダムス・ファミリー』が好きだったクリスが、その演技者であったロード姉弟に依頼した。

 かくしてロード姉弟プレゼンツ、篠宮兄妹の双子プログラム作成が始動した。

 互いに振付に取れる日数が2日半しか無かったため、双子側から篠宮邸への逗留を申し出れば、ロード姉弟は快く受け入れてくれた。

 金曜の講義を終えてすぐさまリンクへ直行し、自己紹介もそこそこに4人は作戦会議を開いた。

「曲は『死の舞踏』って聞いてるけど、どういうイメージでやりたいとか、ある?」

 キャシー=ロードの質問に、クリスが答える。

「僕、お2人の『アダムス・ファミリー』が好きなので、あんな感じ……。暗くオドロオドロシイ感じではなく、面白い物にしたいです」

「ヴィヴィは?」

 そう促してくれるクリス=ロードに、ヴィヴィはまず気になっていた事を口にした。

「えっと……。うちのクリスとMr.クリス……、どう呼び分ければいいですか?」

 互いに英語で会話しているので、クリス=ロードの事を「クリスさん」と呼ぶのも変で。

「あぁ、そうねえ~~。んっ いいこと考えた! こっちの(篠宮)クリスは、クリスJrでいいんじゃない?」

 キャシーがクリスを見つめながら呟いた名案に、本人以外は「「あ、それいい!」」とすぐに喰い付く。

「篠宮クリスJr(ジュニア)。いいねえ」とクリス=ロードが。

「っていうか、もうJrだけでいいんじゃ?」とヴィヴィが。

「え~~……」

 当の本人はやや不服そうだったが、結局 クリス = Jr で落ち着いた。

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