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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第106章
クリスはJrからトランペットを借りて、トロンボーンより小さなマウスピースに四苦八苦しながら吹いてみたり。
キャシーはヴィヴィのピアノと合わせて、簡単に1曲フルートを吹いてみせたり。
ひと回り以上年が離れているにも関わらず、すっかり意気投合した4人は、夜更けまで双子プログラムについて「ああでも無い、こうでも無い」と話し込み。
色々と名案を思い付いた4人は、 “お客さんを思いっきり驚かせる!” をコンセプトに、土曜と日曜で振付を完成させたのだった。
衣装のデザインも、4人でアイデアを出し合って試行錯誤を繰り返し。
そしてその様子は、THE ICEの放映権を持つ中京テレビがべったりと追い駆けており、後日その映像は宣伝として流される事になった。
2泊3日一緒に過ごした別れの時、ヴィヴィは号泣して2人に抱き着き、心の底から喚いたのだった。
「キャシーみたいなお姉ちゃん、欲しいよぉ~~っ」
そしてその翌週――6月19日(土)。
昼過ぎまでのリンクでのレッスンを終えた双子は、ヴィヴィの私室のリビングに居た。
そしてそこには、真行寺兄妹も同席していた。
その4名の前でせっせと作業をする2名は、熱帯魚水槽のインテリアプロデュースと出張メンテナンスをしてくれる業者。
何故こんな事になっているかというと――。
ヴィヴィが両親に強請った誕生日プレゼントに由来する。
「熱帯魚、飼いたいんです!」
スカイプ(テレビ電話)越しにそう訴えたヴィヴィに、真行寺 太一は親切に相談に乗ってくれた。
本当は両親にそう言ったのに「いいよ、飼っても。どれにするか決まったら、一緒に買いに行こう」と、てんで当てにならず。
そんなヴィヴィが思い出したのが、スクーバーダイビングを趣味とし、自身も熱帯魚を飼っている太一の存在だった。
『それで、どんな熱帯魚が飼いたいのかな? グッピー? ランプアイ? ネオンテトラとか……。ああ、淡水フグなんてのもいいね』
そう回線越しに尋ねてくる太一に、ヴィヴィはこてと首を傾げる。