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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第106章               

「グッピーは分かります。なんか小っちゃいのですよね? でもヴィヴィ、クマノミとか可愛くてカラフルなの飼いたい~♡」

『え? 海水魚が飼いたいの? それは初心者には、ちょっとお勧め出来ないな……』

 そう苦笑した太一は、無知過ぎるヴィヴィに簡潔に教えてくれた。

 熱帯魚には淡水魚と海水魚がある。

 初心者向けなのは淡水魚。

 病気になりにくく、多少水が汚れても死なない。

 逆に海水魚は、小さなミスですぐ病気になり死んでしまう。

 水替えも淡水は2週間に1回、海水は1週間に1回必要。

 ただ、淡水魚のデメリットは、海水魚に比べてカラフルで大きな魚が少ないこと。

 一連の太一の説明を聞いても、ヴィヴィは首を縦に振らなかった。

 目指すのは “真行寺のお部屋にあったカラフルな水槽” なのだから。

 結局、ヴィヴィの熱意(?) に根負けした太一は、とある会社を紹介してくれた。

 それが今ヴィヴィのリビングで、レンタルの水槽を設置してくれている会社だった。

 横1.2m 縦60cm 奥行45cmの巨大水槽は、白いキャビネットに乗せられており、上部は遮るものがなく大きなライトで水面を煌々と照らしている。

 真っ白なパウダーサンゴが水底に敷かれ、ライブロック(岩)で土台を形成し、色鮮やかなイソギンチャクやソフトコーラルが配置される。

 そして広いそこに放たれたのは、ヴィヴィの念願だったカクレクマノミに、お尻だけが黄色で青いシリキスズメダイ、15cmもあるミカドチョウチョウウオ、細長く下半身が紫で上半身が白いアケボノハゼ、そして白と赤のストライプのオトヒメエビ。

「取りあえずこれで、しばらく様子を見ましょう」という業者の意見に、ヴィヴィはこくこく頷き、興味津々の太一は色々と質問したりしていた。
 
 業者の片付けが終わり、水槽に近寄ったヴィヴィは、ぺたりと両掌を張り付けながら中を覗き込んだ。

 そしてその隣に、円が同様に水槽にへばり付いていた。

「き、綺麗だし、すっごく鮮やか~~っ♡」とヴィヴィが。

「ふ~ん。お兄ちゃんの部屋の水槽とは、ちょっと違うかな……?」と円が。

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