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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第106章
『ダラダラと仕事をして残業をするのは、能力が無い証拠』という考えが一般的である英国では、早く帰宅して家族と過ごす時間を優先する、そんなライフスタイルが根付いている。
子供と過ごす期間は18年だけ――そう思うからこそ、英国の父親達は夜の食卓に間に合うよう、大急ぎで家へ帰るらしい。
(確かに……、うちは土日くらいしか、両親揃った事、無かったけど……)
両親は日本で働いているし、父は何十もの会社を束ねる企業の代表、母は時間を拘束されるフィギュアのコーチ業。
だから3兄妹は早々に両親の立場を理解し、平日は甘えちゃ駄目――と幼い頃から自覚していた。
「だから、私達は双子を18歳だからと言って、大人扱いする気はないのよ。それに18年ぽっちじゃ足りないわ。まだまだ貴方達と一緒に過ごしたいわ」
母のその言葉に、ヴィヴィはこくりと頷く。
ヴィヴィだってそうだ。
18歳だからと独立して屋敷を出て行くのは嫌だし、正直大学の学費も頼る気満々だった。
(その代り、自分達が得たお金で、フィギュアに掛かるお金、賄えるようにするから……)
というかCM収入等で、もう今の状態で充分賄えていて、母にコーチ代を払っても毎月貯蓄に回せていた。
「ヴィヴィも、そうしたい。だからこそ、何か役に立てる事……うん。恩返し出来る事、無いかなって……」
恩返し――勿論、その気持ちもある。
けれど本当は “親孝行” がしたかった。
(ヴィヴィは、ダッドとマムを、裏切ってるから――)
自分と匠海は、2人で死ぬまで添い遂げていく。
そうなると互いに結婚も出産も子育ても出来ず、両親が得られる筈だった “祖父母としての喜び” を味合わせてあげられない。
それどころか、この先「まったく、いつになったら結婚するのかしら……」と不安と心配ばかりを掛けてしまうだろう。
兄妹が本当の意味で結ばれた、昨年の11月頭。
2人は約束事をしていた。
・喧嘩をしても、家族の前では普通に接すること
・互いに出来る親孝行、家族孝行を考え、実行に移すこと
・受験が終わるまで、セックスは週に1回
・協力し合って、避妊をすること