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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第106章
不思議そうに母を見つめ返すヴィヴィに、ジュリアンは大声で発した。
「避妊はしなさい、避妊は――!」
びしりと人差し指を突き付けられながら、実の母親から(しかも執事の目の前で)避妊を忠告されたヴィヴィは、一瞬何を言われたのか把握出来ず。
「…………は…………?」
間抜けな顔で固まるヴィヴィの背後で、朝比奈は頭を抱えていた。
「私から見てのヴィヴィは、本当に『お子ちゃま』以外の何物でもないけどっ 今のあんたに “女の色気” を感じる男が、この世にいるとは思いたくないけどっ 結婚するまでは避妊しなさい! いいわねっ!」
「は、はい……」
母のあまりの迫力に気圧され、ヴィヴィは咄嗟にそう頷く。
「宜しい! 以上っ」
一方的に話を打ち切ってリビングに戻って行く母に、ヴィヴィは廊下に置き去りにされ、しばらくそこで固まっていた。
「………………って ~~~っっ!?」
30秒程してやっと反応したヴィヴィは、頭の中で喚く。
(た、確かに、ヴィヴィは『お子ちゃま』かも知れないけどっ けどっ! ヴィヴィに “女の色気” を感じる男が、この世にいるとは思いたくないって何さっ!? って、いうか……)
ヴィヴィはそろりと後ろを振り返ると、そこには何とも言えない表情で控えている朝比奈の姿があった。
(ヴィヴィにだって、羞恥心というものが、あるんです……。た、頼むから、執事の前で、「避妊しろ」なんて、言わないでぇ~~……orz)
「…………とほほ」
情けなくそう呟いたヴィヴィは、朝比奈を引き連れ、すごすごと3階へと戻って行ったのであった。
翌週の6月25日(金)~27日(日)、双子は新横浜スケートセンターにいた。
DREAMS ON ICE2021。
14歳~16歳まで出演していたそのショーは、昨年は受験の為に出られなくて。
今年は番宣CMに引っ張りだこだった双子は、会場に入ってからも地上波放送用に対談を撮影したり、オープニングとエンディングの演技を覚えたりと大変だった。
ちなみに対談は、クリス & 羽生結弦、ヴィヴィ & 宮平知子で行い、互いの性格が良く出た、そして仲の良さが表れたほのぼのしたものだった。