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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章
そして次のブリちゃんの指摘に、クリスを除いた皆が一様に頷いて同意した。
「ってか。ヴィヴィ、丸尾っちのこと、好きなのかと思ってた!」
「……へ……?」
ヴィヴィが丸尾の事を好き?
何がどうなったらそうなるのか。
ぽかんとするヴィヴィに、丸尾本人も苦虫を噛み潰した様な表情でうんうん頷く。
「毎日毎日、甲斐甲斐しく苺持ってきて、丸尾っちに勧めてたら。そりゃあ好きなのかと、思うじゃん?」
円のその指摘に、ヴィヴィは今更ながら慌てて釈明する。
「え……。ヴィヴィ、ただ、丸尾っちの胃が心配で……。まあ、自分も苺、食べたかったのもあるけれど……」
「そこで、野菜ジュースや野菜サラダをプレゼントする――という発想に至らないのが、ヴィヴィだよね~~」
ブリちゃんにそうからかわれ、ヴィヴィは「その手があったか!」と気付き。
浅はかな自分の思考回路にしょぼんとしたヴィヴィは、隣に座っているクリスに、
「そんなヴィヴィも、可愛い……」
と頭を撫でられたのだった。
「あ……、そうだ……」
4時限目終了の鐘が鳴ってすぐ、目の前の席に座っていたクリスが、そう呟きながらヴィヴィを振り返る。
「ん?」
散らばっていた筆記用具をペンケースに戻しながら、相槌を打つヴィヴィに、
「彼女、できた……」
クリスのその言葉に、ヴィヴィはぱっと顔を上げる。
「え……、あ、ホント?」
こくりと頷くクリスに、ヴィヴィが「誰?」と聞くより先に、隣の席の円が口を開いた。
「あ! “ほうべん” の、花梨ちゃんっ!?」
「そう……」
いつも通りの無表情で頷くクリス。
「えっ!? 告ったの? 告られたのっ!? ……て、クリスから告る訳、ないか~~」
息急き込んで尋ねた割には、すぐに自己完結した円に、ヴィヴィは不思議そうに彼女を見つめる。
(…………? なんで、クリスから告る訳、ないの……?)
クリスと円が所属しているサークル “ほうべん” ――東京大学法律勉強会はインカレサークル(様々な大学に通う学生で構成されるサークル)。
よって東京大学の学生はもちろん、青山学院大学、聖心女子大学、慶應義塾大学、早稲田大学、御茶ノ水女子大学、国学院大学といった、様々な大学の学生が所属している。