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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章           

 2人のやり取りを聞いていると、くだんの “花梨ちゃん” は御茶ノ水女子大学の2年生で、オーストラリアからの帰国子女らしい。

「ク、クリス……。学期末試験を15日後に控えて、彼女作れる東大生なんて、あんたぐらいだよ……っ」

 円が呆れた表情を浮かべる理由――教養学部生(1・2年生)時の成績で、その後どの学部へ進めるかが決定する学期末試験に、東大生は皆が血眼で勉強するからだ。

「そう……?」

「そうだよっ! いいなぁ~~……。私も、いつか、セルゲイ……と♡」

 夢見る乙女の様にあごの前で指を組む円に対し、クリスが呆れた視線を、ヴィヴィが微笑ましい視線を投げ掛ける。

 毎週月曜日にお世話になっている、ロシア語家庭教師のセルゲイ=スミノフ。

 イケメン30歳の大人の魅力にメロメロの円は、1ヶ月半経った今も頑張ってロシア語を勉強し、3人の中で一番上達が早かった。

(恋の力は偉大だなぁ~~。なんかマドカ最近、より可愛くなった気がするし)

「そっか~~、じゃあ、ヴィヴィの予知、当たるかもしれないね?」

 円に向けていた瞳をクリスに移し、ヴィヴィはにっこりと微笑む。

「え……? 予知……?」

 何の事が分からないらしいクリスと、

「ヴィヴィ、何のこと?」

 そう喰い付いてきた円と、数人のクラスメイト達。

「えっとね~……」

 クリスの了承を得てヴィヴィが説明したのは、双子の兄の女性遍歴の事。

 16歳の1月~3月の間、クリスは3人の女子と交際していた。

 1人目 :リサ  1週間

 2人目 :ヘレン 2週間

 3人目 :ローラ 3週間

 それぞれの交際期間は、たったのそれだけ。

 そして1週間ずつ増えている交際期間に、面白がったBSTのクラスメイト達は、

『これから何十人もと付き合っていけば、なんとか1年間、付き合える彼女が出来るんじゃないか?』

 との仮説を立てた。

 けれど、

『その前に、女性恐怖症になる』

『ゲイになる』

『13人目の彼女に刺される』

『ただのシスコンに戻る』

 と、皆が無責任に面白がる中、ヴィヴィが発したのは、

『え~? じゃあ、理想の相手に巡り合えて、18歳で結婚しちゃう♡ に一票!』

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