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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章
まあ、クラスメイトの大多数に『それはないわ~』と突っ込まれ、クリス本人にも『ないわ~……』と一刀両断されたが。
ヴィヴィのその説明に、円やクラスメイトは腹を抱えて笑っていた。
「18歳で、電撃結婚……♡ いいなぁ~~♡」
うっとりと掌を合わせて右頬に添え、羨ましそうに呟くヴィヴィに、
「いや……、絶対に、ないから……」
クリスはそう突っ込んだのだが、妹には全く届いていなかった。
ヴィヴィのそんな様子に「はぁ……」と深いため息を零したクリスは、
「って事で……、家にも来るかも、知れないから……」
そう言って、この話題を打ち切ろうとする。
「あ、うん。ヴィヴィ “花梨ちゃん” 会ってみたい~~」
そう明るい声を出しながらも、ヴィヴィは頭の中では2つの事を考えていた。
1つめは、クリスに恋しているカレンに、この事を伝えるべきか否か。
2つめは、母ジュリアンは18歳(英国では成人年齢)になった娘に忠告した様に、「避妊はしなさい、避妊は――!」とクリスにも言ったのだろうか。
「ところで、クリス。そろそろ、作り始めないと、じゃない?」
円のその言葉に、クリスは何の事か分からず首を微かに傾げる。
「何、を……?」
「シケプリよ! シケプリっ 学期末試験、15日後に迫ってるでしょ?」
シケプリ――試験対策プリント。
クリスと円は、入学前に行われたクラスごとのオリ合宿で、半強制的にシケ対(試験対策委員会)に選ばれていた。
クリスは “情報認知科学” のシケ対に。
円は “国際関係論Ⅰ” のシケ対に。
「…………面倒くさ」
本当に面倒臭そうにぼそりと零したクリスの気持ちも、ヴィヴィは解らないでもなかった。
シケ対は「授業の出席が不十分な人が、単位を取れるようにアシストする」という互助会的な仕組み。
そしてその仕組みの為に、シケ対はシケプリ作りをしなければならないのだが。
良いシケプリとは
1.まず抜け落ちがないこと
2.纏まっていて読みやすいこと
3.配布プリントがついていること
4.過去問が掲載されていること
5.試験問題(前ばらし)の掲載
6.外国語の場合は単語帳があると便利
まあ、貰えるほうは万々歳だが、作るほうは面倒臭い事この上ない。