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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章           

 高い天井のだだっ広いそこには、既に100名ほど集まっていて。

 そのメンツはどう見ても、匠海よりもだいぶ年上の方々ばかり。

 困り果てるヴィヴィの手を取った匠海は、自分の左腕にそっと絡ませると、その細い手を優しく包んで歩き出した。

「大丈夫だから。ただ、笑顔だけは、忘れないで?」

 小さく囁かれた兄の言葉に、ヴィヴィは微かに頷いて見せ、小さな顔に自然に見える笑顔を浮かべることだけを心掛けた。

「やあ、篠宮君。今日は可愛らしい子を連れて」

 早々に声を掛けられ、そちらを振り返ったヴィヴィは、度肝を抜かれた。

「三木田さん、先日はお世話になりました。この子は妹の――」

 親しそうに挨拶する匠海は、ヴィヴィに視線を落とし自己紹介するように勧めるが、それよりも早く三木田が反応する。

「知っているよ。ヴィヴィちゃん、だろう? 初めまして。楽店㈱の三木田です」

 にこやかに名刺を取り出して手渡してくる三木田に、ヴィヴィは丁寧に両手で受け取り、差し出された手を握って握手を交わす。

「は、初めまして。篠宮ヴィクトリアです。えっと、兄がいつもお世話になっておりますっ」

 月並みな挨拶を寄越すヴィヴィに、三木田はスマホを取出し、

「実は娘がヴィヴィちゃんのファンなんだ。下手ながらスケートも習っていてね。よければレアな着物姿の写真、撮っていい? 自慢してやろう~~」

「あ、はい。勿論です。えっと、一緒に撮って頂いていいですか?」

 1人で撮られるのが恥ずかしくて、2ショットをお願いしたヴィヴィに、三木田は嬉しそうに匠海にスマホを預けて写真を撮って貰った。

 娘さんの話を聞いて別れると、今度は違う方に呼び止められて。

 楽店㈱、ユニ・チャーミ、Yohoo JAPAN、任点堂、㈱セコム保障、クボタ機器㈱。
 
 お嬢で世間知らずのヴィヴィでも知っている、世界で革新的な活躍をする企業のトップばかりが集まった、その豪華すぎる面々。

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