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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章           

 なんだか良く解らなが、それで父が喜ぶなら――と、ヴィヴィは早速教えて貰ったボランティアグループの代表の一条と、コンタクトを取り。

『ボランティアに、興味があるんです』

 そう言ったヴィヴィを、ボランティアグループの皆は、ここ・新緑寮へと連れて来てくれた。



 折り紙で星を作るやり方を教わったり、輪っか飾りを作ったり。

 初めは初対面の子供達に内心ドキドキのヴィヴィだったが、すぐに打ち解けて心底楽しんでいた。

「ヴィヴィ、織り姫の絵、描いて?」

 丸刈りの頭が可愛い小学校3年生の和也が、そうおねだりしてくる。

「織り姫様? いいよ~、まかしといて!」

 ヴィヴィは画用紙とクレヨンを受け取って、意気揚々と描き始めたのだが。

「…………、これ、何……?」

「……えっと……、鬼?」

「なんで、ツノ、生えてるの……?」

 大胆なタッチで描かれていく織り姫に、小学生を中心とした子供達がわらわらと集まって来る。

「え~~? ほら、織り姫様って、頭の上にこう、2つの輪っか乗ってるみたいな髪型じゃなかった?」

 ヴィヴィが金色の頭の上、両手で2つ丸を描くと、

「いや。この絵はツノにしか見えないよ」

「っていうか、体になんか巻き付いてる……。大蛇……?」

 次々突っ込んでくる子供達に、ヴィヴィは、

「違う~~っ! これは羽衣みたいなやつ。体の周りにふよふよ浮いてるでしょ?」

 と懸命に釈明したが、結局みんなに寄ってたかってからかわれ、クレヨンを握り締めた子供達に横から絵が書き足され。

 最後には “体に大蛇を巻きつけた2本のツノを生やした鬼” の絵が完成してしまった。

 多目的ルームに張り出されてしまったその絵を、恨めしそうに見つめながら、ヴィヴィは約3時間の滞在で、その施設を後にすることになったのだが。

「じゃあな、ヴィヴィ! また来いよ。遊んでやる」

「次は、もう少しましな絵、書いてよね~?」

 と、子供達にまで『お子ちゃま』扱いされたヴィヴィなのであった。





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