この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章
なんだか良く解らなが、それで父が喜ぶなら――と、ヴィヴィは早速教えて貰ったボランティアグループの代表の一条と、コンタクトを取り。
『ボランティアに、興味があるんです』
そう言ったヴィヴィを、ボランティアグループの皆は、ここ・新緑寮へと連れて来てくれた。
折り紙で星を作るやり方を教わったり、輪っか飾りを作ったり。
初めは初対面の子供達に内心ドキドキのヴィヴィだったが、すぐに打ち解けて心底楽しんでいた。
「ヴィヴィ、織り姫の絵、描いて?」
丸刈りの頭が可愛い小学校3年生の和也が、そうおねだりしてくる。
「織り姫様? いいよ~、まかしといて!」
ヴィヴィは画用紙とクレヨンを受け取って、意気揚々と描き始めたのだが。
「…………、これ、何……?」
「……えっと……、鬼?」
「なんで、ツノ、生えてるの……?」
大胆なタッチで描かれていく織り姫に、小学生を中心とした子供達がわらわらと集まって来る。
「え~~? ほら、織り姫様って、頭の上にこう、2つの輪っか乗ってるみたいな髪型じゃなかった?」
ヴィヴィが金色の頭の上、両手で2つ丸を描くと、
「いや。この絵はツノにしか見えないよ」
「っていうか、体になんか巻き付いてる……。大蛇……?」
次々突っ込んでくる子供達に、ヴィヴィは、
「違う~~っ! これは羽衣みたいなやつ。体の周りにふよふよ浮いてるでしょ?」
と懸命に釈明したが、結局みんなに寄ってたかってからかわれ、クレヨンを握り締めた子供達に横から絵が書き足され。
最後には “体に大蛇を巻きつけた2本のツノを生やした鬼” の絵が完成してしまった。
多目的ルームに張り出されてしまったその絵を、恨めしそうに見つめながら、ヴィヴィは約3時間の滞在で、その施設を後にすることになったのだが。
「じゃあな、ヴィヴィ! また来いよ。遊んでやる」
「次は、もう少しましな絵、書いてよね~?」
と、子供達にまで『お子ちゃま』扱いされたヴィヴィなのであった。