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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章           

 そして、いつもの無表情をかなぐり捨て、薄い唇の口角を上げ、にやあと嗤い――。

「「「「「ひぃぃいい~~~~っ((((lll゚Д゚)))」」」」」

 クラスメイトを、恐怖のどん底に叩き落としたのであった。

 “ドS王子” ――クリスのあだ名が決定した瞬間だった。

「………………」

(ク、クリスの笑い顔……。リンク以外では、見ないほうが幸せかも……)

 ちなみに、くだんの “情報認知科学のシケプリ” は、最終的に何処にあったかというと。

 双子が毎日利用している炊事門の門柱に、(20枚も張られていた紙の)最後の指令が張られていた。

『下記、サイトを見よ

 http://ux.getuploader.com/2021t4/

 Download Password : vivi_love

 from 情報認知科学 シケ対』 

((((“ドS王子” の上に “ド シスコン” ……orz))))

 キャンパス中走り回ってヘロヘロの皆が、そう心の中で頭を抱えたのを、シケプリに興味の無いヴィヴィは、知る由も無かった。








 7月9日(金)。

 1時限目の “現代生命科学Ⅰ” が終わった途端、すくっと立ち上がったヴィヴィに、隣に座っていた円が思い出した様に確認してくる。

「双子は、午後は出ないんだっけ?」

 明日と明後日、福岡で行われるアイスショーの為、双子は午後の授業に出れなかった。

「うん。ごめん、マドカ。 “政治Ⅰ” のノート……」

 3時限目の “中国語二列” は、彼女は履修していないので、4時限目のノートだけお願いしたいと、小さな顔の前で両掌を合わせるヴィヴィに、円が心得て頷く。

「OK。ばっちし、板書写しとく!」

「ありがと。ヴィヴィ、レポート出しに行ってくるね」

 休憩時間が10分しかないので、急いで出して来なければ。

「ん? 児玉先生?」

「うん。 “学術俯瞰(ふかん)講義” の……」

 バッグの中から、摘み上げたファイルの隅を見せたヴィヴィは、そのまま講義室を出た。

 その背後からは、

「しかし、双子も大変やの~。みんなが試験前で、目の色変えて勉強しとる中、福岡でショーとは……」

 という、クラスメイトの三宅の声が聞こえていた。

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