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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章
クリス以外にも3名のスケーターが、平居堅の生歌でオリジナルのエキシビを滑る。
双子の兄が選んだのは、『LOVE LOVE LOVE』。
アカペラで始まる素敵な曲で滑るクリスは、とても気持ち良さそうで楽しげで。
リンクサイドでそれを見ていたヴィヴィも、いつの間にか笑顔になって、細い身体でリズムをとって乗っていたのだった。
10日(土) 昼・夜公演
11日(日) 昼公演
今シーズンのエキシビ『What a wonderful world』を披露したヴィヴィは、休憩中は皆と戯れたり、ホテルに戻れば血眼で試験勉強したりと、忙しく過ごし。
また9月に、今度は新潟で行われるFantasy on Ice 2021での再会を約束し、双子は夜の便で東京へと戻った。
7月13日(火)。
駒場キャンパスでは、 “英語一列” の一斉試験が行われる中、双子はというと二子多川にいた。
主言語が英語である双子は、英語の必修授業は免除されていた。
同じクラスのアメリカ人男子留学生 ガブリエル=ヒルも、今日は試験を受けていない。
話は戻り、なぜ世田谷区の二子多川にいるかというと、自動車教習所への入学手続きの為であった。
まるでニューヨークの美術館の様に、3階まで吹き抜けのおしゃれな自動車教習所のロビー。
その建物の1室に通された双子は、同行してくれた朝比奈と一緒に、10畳くらいの部屋で説明を受けた。
女性の担当教官が説明する事には、朝比奈が申し込んだコースというのは、一般の教習コースとは異なり “タレント・VIPコース” らしく。
「「………………」」
((タレントでも、VIPでもないけど……))
双子は同時に、そう心の中で突っ込んだ。
なんでも、超多忙な人向けのプランらしく、当日予約も急なスケジュール変更も、なんでもOK。
座学は専用VIPルームでマンツーマンにて行われ、専用駐車場やマネージャーのウェイティングルームが付いていたりと、サービス満点。
これまでにも多くのタレントやVIPの方が卒業し、好評を得ているのだとか。