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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章           

 両親はそれを快諾したは良いが、毎年、双子の夏季休暇を利用し、年に1回しか英国に里帰り出来ていない為、悩み抜き。

 その結果、「じゃあ互いの親族一同も一緒に、旅行に行けばいいんじゃないか?」という、とんでもない案が浮上した。

 英国のロンドンとエディンバラの親族からも遠過ぎず、日本の自分達からもそれ程遠くない。

 そして、五輪のプレシーズンである大事な時期――双子がリンクで滑られる国を優先し。

 その結果が、アラブ首長国連邦(UAE)の首長国のひとつ、ドバイに旅行先が決定したらしい。

「なんか、ハワイにも、リンクはあったらしいんだけど……。英国からだと、遠いからね……」

 クリスのその捕捉に、「あ~。グランパやグランマには、長距離移動はきついかも……」とヴィヴィは納得したのだった。

「いいなっ いいなっ いいなぁ~~~っ!!!」

 心底羨ましそうにそう喚く円に、こればかりは何ともしてあげれない、と苦笑するヴィヴィ。

 クリスはクリスで「ヴィヴィの水着姿……。楽しみ……」と、とんでもない事を言い出すし。

 そんな賑やかな3人を、周りの27名のクラスメイト達が、恨めしそうな瞳で見やり、

「お前ら! 試験中にも関わらず、なんでそんなに余裕ぶっこいてんだよ~~っっ!?」

「そうだそうだ! こっちは、シケプリ暗記するのに必死だってのにっ」

 と怒号が飛び交う。

 けれど、クリスはそんな事で怯む様な男ではなかった。

「日頃の行い……、だよね……?」

 静かにそんな正論をぶつ “ドS王子” クリスに、クラスメイトは皆、絶句し。

「……嫌いだ。クリスなんて、きらいだ……っ」

「地頭のいい奴に、俺らの気持ちなんか、分かんないんだ~~っ」

 講義室中にそんな恨み節が飛び交う様子に、ヴィヴィは細い肩を竦めて苦笑したのだった。




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