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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章

7月26日(月)
その日は、10日間ある試験日の中でも、一番きつい日だった。
1時限目 現代生命科学Ⅱ
2時限目 国際関係論Ⅰ
3時限目 心理学Ⅰ
4時限目 情報メディア伝達論
いくら毎日、予習復習を欠かさないヴィヴィでも、試験を終えてくたくたで。
(の……、脳みそ、搾り取られた……)
試験を終えたヴィヴィは、小さな頭の中で試験問題を思い出し、「あれは、選択肢Bだったかな……」と考えながら、炊事門でクリスを待っていた。
あまり使用する人のいない炊事門でも、ちらほら利用する学生はいて。
大半の者が、試験に疲れた顔 もしくは 終わって晴々した顔で、門を通過していく。
そしてその中に見つけてしまった顔ぶれに、ヴィヴィの灰色の瞳が瞬時に曇った。
視線が合った2年女子の宮崎佳苗とその取り巻きは、ヴィヴィの姿が目に入っても、全く驚く気配も無く。
それどころか、そこにいるのが分かっていたかのように、こそこそと話し始める。
「『シャネル & ストラヴィンスキー』ってさ……」
「ね……。あれ、R18なんでしょ~?」
クスクスと嘲笑を上げる2人が指しているのは、双子が今期のFPで用いる映画。
そのサントラが好きで、ヴィヴィは使おうと思ったのだが、確かに彼女達のいう通り、その映画はR18だった。
「しかも、あれ、不倫映画でしょ……?」
「ふふっ “お子様” が背伸びし過ぎんなっていう」
「あははっ」
自分の立っている門を通り抜けていく彼女達の見えないところで、ヴィヴィは両の拳を握り締める。
「………………」
(ヴィヴィ……、18歳だもん……。R18は “18歳未満・閲覧禁止” なんだもん)
そう論点がずれたところに、まず突っ込んだヴィヴィ。
薄い唇から細く漏れた息はなかなか途切れず、まるで肺の中の全ての空気を吐き出し切ろうとしているようにも見える。
(確かに……。“映画” は、えっちしてばっかり、なんだけど……)
サントラを聴いて惚れ込んで映画を観たヴィヴィは、心底驚いた。
終始、シャネルとストラヴィンスキーがセックスしているのだ。
「クリスと一緒に、観なくて良かった……っ」
まず最初の感想が、それ。

