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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章
そして、昨日もリンク上で散々動画を見直したのに、何故その時に気付かなかったのだろうと、首を捻ったヴィヴィ。
「……あ……っ」
そうか。
昨日、ジャンプも決まらなくて、プライベートも荒れていて、ヴィヴィの精神状態は普通では無かった。
だから、昨日は気付けなかった。
そして、ヴィヴィの心を落ち着かせてくれたのは、他でもない昨夜の匠海の言動。
(…………、ますます、頭が上がらない、や……)
桃色の唇からふ~と細い息を吐き出したヴィヴィは、その唇を引き結び。
やがてにっと弧を描き、リンクへと戻ったのだった。
15日間の怒涛の試験期間を無事終えた双子は、7月31日(土)、クラスの皆――総勢30名で海水浴へと繰り出した。
初めての湘南。
そして今年の初泳ぎとなるヴィヴィは、試験からの解放感も手伝ってはしゃぎまくり。
『あんまり、あほみたいに焼かないでね?』
その母の命令を守り、薄っぺらい身体に日焼け止めを塗りまくったにも関わらず、少し日焼けしてしまった。
「えへへ……っ」
ヴィヴィの灰色の瞳が、夏の強い日差しを受けてキラキラと輝く。
どこまでも突き抜ける青い空。
高い空に浮かぶ白い入道雲。
押し寄せては引く白い波しぶき。
身体に纏わりつく潮風は、どこまでも心地いい。
青のりが歯にくっ付きそうなたこ焼きも、海の家のしょっぱいラーメンも、はしゃぎ疲れた身体には美味しく感じて。
これぞ、夏!
VIVA、夏!
「夏、サイコ~~っ!!」
(っていうか、夏休み、サイコ~~っ!!)
そう海に向かって叫んだヴィヴィの金色の頭を、円が後ろから浮き輪ではたき、一言。
「五月蠅い。てか、近所迷惑!」