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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章
エッジカバーを外してリンクに入っていくヴィヴィの手を、誰かに後ろから掴まれ。
驚いて振り返ったそこには、ヴィヴィよりはるかに背の低い宮平が、その手を握り締めていた。
「知子ちゃん……?」
「ヴィヴィ。私、頑張るから……っ だから、絶対に、3枠取ろうね?」
いつもはとても大人しい宮平が、強い瞳で自分を見つめ、自分の気持ちを口にする。
「うんっ 一緒に、頑張ろう!」
にっこりと微笑んだヴィヴィは、心底嬉しさを感じていた。
いつもはそれぞれ個人競技で、本番はたった1人で、広いリンクの上で己と戦っている。
だからこそ、団体戦というチーム戦は、魅力的でやりがいがある。
ぎゅっと握り返した宮平の手は、ヴィヴィのよりも小さいけれど。
世界ランキング6位の宮平と、1位のヴィヴィ。
日本女子シングルを背負って立つべき2人が、こうやって心を通い合わせられただけで、ヴィヴィはいつもの何十倍も心強く感じられたのだった。
8月11日(水)。
色々な収穫を得て終えた、2泊3日の合宿最終日。
夕方に皆と別れて中京大学を後にした双子とジュリアンは、一路 新幹線で東京へと戻り。
どったんばったん荷物をひっくり返しながら、新たに荷造りをした。
家族でディナーを囲み、ひとっぷろ浴びて向かったのは、羽田国際空港。
エミレーツ航空が手配してくれたリムジンで到着したのは、23:00。
チェックインを済ませ、ファーストクラス専用のラウンジで寛ぎ。
8月12日(木)に日付が変わり――1:30。
篠宮一家を乗せた飛行機は、ドバイへと向けて飛び立った。
飛行機に乗るなり、備え付けのキャビンウェアに着替えた双子は、文字通り爆睡した。
日本時間の5時に自然と目が覚めたヴィヴィは、
「~~っ まだ寝てて、いいんだぁ~~♡」
と幸せに浸りながら二度寝し。
さすがにこれ以上寝たらしんどいかも……と、数時間後には目を覚ました。