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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章           

 完全個室のシートは、目の前に液晶モニターがあって、フルフラットシートで足を延ばして真っすぐ寝られるほどの広さ。

 両サイドに引いて扉を開ければ、通路を挟んで横に4列のボックス席がある。

 (左窓際の席) ヴィヴィ → クリス → 父 → 母 (右窓際の席)

 の順で座っており、ヴィヴィの目の前の席が匠海だった。

 寝癖が付いていないか確認してから、前の席を上から覗き込んでみれば、匠海は居なくて空室で。

 通路に出て右隣のクリスの個室をノックすれば、起きていたらしい双子の兄が、扉を開けて顔を覗かせた。

「おはよ、クリス」

「はよ。ふわわ……、良く寝た……。まだ、全然、寝れるけど……」

 うーんと上へ伸びをしながら、そう呟くクリスに苦笑したヴィヴィは、「朝食、食べた?」と尋ねる。

「ううん。今から、食べようかと……」

 せっかくの家族旅行なのに、完全個室で食事をするのが寂しかったヴィヴィは、互いの扉を開けっ放しにして、一緒に朝食をとる事にした。

 和食を選び、空の上とは思えぬ豪勢な懐石に舌鼓を打ち。

 クルーに「シャワールーム、ただいま開いておりますよ?」と促されて、なんと、飛行機の中でシャワーを浴びてしまった。

(今、飛行機落ちたら……、ヴィヴィ、素っ裸の遺体で、発見されるのか……)

 どうでもいい事に若干の恐怖を覚えながら、身だしなみを整えると、すっきりして完全に目も覚めた。

 皺になりにくい素材のワンピに身を包み、ヴィヴィと入れ替わりにシャワーを使ったクリスと、機内を散策する事にした。

 なにせ、11時間35分も乗っていなければならないので、暇なのだ。

 もう18歳の大学生なのに、どこかガキっぽさが抜けない双子は、控えめにはしゃぐ。

 昨夜は眠くて気付かなかったが、ファーストクラスはなんだかキンキラキンだった。

 機体前方にはファーストクラスのソーシャルエリアがあり、そこにある 水が上から流れるオブジェに驚き。

 お酒と簡単なおつまみが並べられているそこを冷やかすと、今度は後方デッキへと移動する。

 機内ラウンジには12人くらい座れそうなソファー席があり、真ん中にあるカウンターでは、ソムリエとバーテンダーがお酒を振る舞っていた。

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