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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章
「キーファック……?」
そう呟いたクリスに、ぎょっとした匠海の目の前で、ヴィヴィがにっこりと「ビハエル」と答える。
「な、なんて言ったんだ、クリス?」
何故かどもる匠海に、クリスが少し呆れた瞳を向けて「元気? だよ……」と説明する。
その後も、きゃっきゃとやり取りしていた双子だったが。
ヴィヴィ「最悪 は?」
クリス 「ゼフト……」
クリス 「ケダモノ は……?」
ヴィヴィ「ん~っと、ハヤワーンっ ((((;゚Д゚)))」
ヴィヴィ「じゃあ、ホモ野郎 は?」
クリス 「ルーティ……」
なんだか雲行きが怪しくなり始めた双子に、両親は笑い転げ、匠海は困惑し、ドバイ人の運転手はルームミラー越しに、ちらちらとこちらを伺っていた。
クリス 「ムカツク は……?」
ヴィヴィ「ムザアジュっ (#`皿´)」
ヴィヴィ「変態 は?」
クリス 「マフース……」
そこでゲホゲホとむせ込んだ匠海に、
「「………………?」」
双子は揃って不思議そうに、2対の灰色の瞳を向けたのだった。
賑やかな篠宮一家を乗せたリムジンは市街地を突っ切り、いきなり海岸の方角へ方向転換した。
「……パーム・アイランド・パーク?」
窓から外を覗いたヴィヴィは、出ていた案内標識を読み上げて首を傾げ。
モノレールの高架と並行しながら走る道路の両脇に、信じられないほど豪勢な高級住宅地が広がる光景に、放心していた。
「ほら、ヴィヴィ。あそこが、泊まるホテルだよ」
父に促されてフロントガラスから前方を覗き込めば、まっすぐに突っ切った道路の先にそびえる、ピンク色のお城を認めた。
「……お、王宮……?」
思わずそう漏らしたヴィヴィに、クリスが首を振る。
「アトランティス・ザ・パーム・ドバイ、っていう、ホテル……」
宿泊するホテル名すら知らなかったのは、どうやらヴィヴィだけだったらしい。