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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章           

 海底トンネルに吸い込まれていくリムジンの車中、ヴィヴィは斜め前に座っている匠海に視線を移す。

「ね……? さっきから、パーム(ヤシの木)って名前が、よく出てくるけれど……?」

「知らないのか? ドバイ沖合の人口の島が、パーム(ヤシの木)の形をしているから、パーム・アイランドと呼ばれてる。今いる、ここが、その人口の島なんだ」

 トンネルの流れていく照明に照らされた匠海が、苦笑しながら説明してくれた途端、また眩しい地上へとリムジンは滑り出ていく。

 そうこうして到着したホテルは、馬鹿デカかった。

 23階建て、1539の部屋数を誇る、5つ星ホテル。

 グランド・ロビーはずどんと突き抜けた吹き抜けで、尖塔型の白いアーチを支える柱は、魚の鱗を模している。

 あまりのスケールのでかさに、ぽかんと口を開けたままのヴィヴィを、クリスが「やれやれ……」と呟きながら手を引いて連れて行く。

 インぺリアル・クラブ専用のラウンジでチェックインした一家は、すぐに部屋へと案内された。

 グランド・アトランティス・スイート。

 通された部屋は、3方向を囲むテラスから眼下に広がるペルシア湾が見渡せる。

 24時間利用可能なプライベート・バトラー(執事)が、紹介してくれる事には――。

 2ベッドルーム + (コネクティングルームの)ベッドルーム。

 3バスルーム。

 リビングルームにダイニングルーム、キッチン。

 書斎に、4つのウォークインクローゼット。
 
 8つのテラス、内3つは屋外ダイニング。
 
 それら全ての部屋が、三角形の大きなロビーに繋がっている――らしい。

 とにかく圧倒されまくりのヴィヴィは、20名利用可能なリビングでウェルカムドリンクを飲みながら、しばらく呆けていた。

(一泊、幾らするんだろ……、ここ……)

「ヴィヴィ~。呆けてないで、部屋割り、決めるわよ~?」

 母のその鶴の一声に皆が集まり、部屋割りを決めた。

 ジャグジーと2つのシャワールーム、2つのウォークインクローゼットの付いたマスターベッドルームは、もちろん両親に。

 バスルームとウォークインクローゼットが付いたベッドルームは、匠海とクリスが。

 シャワールームが付いたコネクティングルームは、ヴィヴィが。

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