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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章           

 部屋から見えていたホテル前の広大なプールに着くと、一家の為に用意されていたプライベート・カバナに案内された。

 三角屋根の白いテントは、6名も入れる大きさで。

 奥には白いキングサイズのベッド、手前にはビーチベッドが置かれていた。

 ヴィヴィは纏っていたコバルトブルーのワンピースを脱ぐと、ビキニ姿になる。

 白地に水色、グレー、黄色、ピンクの色彩がプリントされたそれは、胸の中央でひねられたチューブトップで、首の後ろで紐をリボン結びにしている。

 期末試験明けに行ったクラスメイトとの海水浴でも、女子に好評だったそれ。

(ふっふっふっ……。ヴィヴィはですね、気付いたのですよ。ペチャパイにはペチャパイの、水着の着こなしがあるということを・だ・ね!)

 チューブトップだと、布地の面積が大きくて安心だし。

 三角ビキニのように、全く存在しない胸の谷間を探られることもない。
 
 これで心置きなく、ビーチもプールも満喫できる。

 長い髪をポニーテールにしたヴィヴィは、兄2人とプールでマジ泳ぎをした。

 クロールに平泳ぎ、バタフライもどき。

 もう24時間以上、身体を動かしていなかったので、気持ち悪くてしょうがなかったのだ。

 30分も泳ぐと、意外に疲れてしまって。

 ふらふらとプールから上がったヴィヴィは、カバナのベッドに突っ伏して、グースカ寝入ってしまった。

 しばらくして、自分の両脇のスプリングが沈む感覚に、うっすらと目蓋を開けたヴィヴィ。

 視界にクリスが入り、ほっとしてまた目蓋を下したその頭を、2人分の掌が撫でてくれた気がした。

 どのくらい時間が経ったのだろう。

 泥の様に眠っていたヴィヴィの鼓膜を震わせたのは、母方の従姉・サラの声。

「あれ~、なんだ。双子、寝ちゃってるのぉ?」

 間延びしたその声に、ヴィヴィの背後から、匠海の暖かな声が発せられた。

「ああ。2人とも9日前からずっと、日本各地を転々としていたからね……。起きたらサラ達が呼んでたって、伝えておくよ」

「え~……。2人とも、寝ちゃってるの~?」

 不服そうなその声は、11歳のサラの弟・ジムのもの。

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