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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章
(ん……。ジムと、遊ぶ……)
何故か鉛の様に重い身体を起そうとしたその肩を、匠海が後ろから掌を添えて制した。
「そう、寝ちゃってるんだ。だから後で、たくさん遊んであげて?」
「うんっ 遊んであげる!」
そんな可愛らしい言葉を残し、サラとジムが離れていく気配がし。
ヴィヴィの意識はまた、まどろみの底へと沈んでいった。
再び起きた頃には、身体も軽くなっており。
カバナで読書するという匠海と別れ、双子は他の従姉妹達と合流し、プールとビーチで遊んだのだった。
夕方からは親族総出で街へと繰り出し、ドバイ・モールという世界最大級のショッピングモールに向かった。
東京ドーム23個分、高級ブティックをはじめとするショップが1200店舗入ったそこ。
3階まで吹き抜けの巨大水槽まであり、速攻へばりついたヴィヴィは、従兄弟達に剥がされて連れて行かれた。
アラブ女性の民族衣装・アバヤを買いたがった女性陣に根負けし、男性陣だけ先にレストランへと向かい。
ヴィヴィも叔母や従姉妹達と一緒に、頭の先から爪先まですっぽりと覆われる、黒いアバヤを購入した。
さっそくアバヤを纏って現れた女性陣に、男性陣は口笛を吹き、大喝采で喜び。
アラビア料理の数々を、再会を祝福しながら囲んだ。
ドバイはイスラム教の都市で、飲酒はタブーだったりする。
しかし、政府から酒を販売する許可を得たモール内のレストランや、町中の高級レストラン、ホテルでは飲酒可能だった。
18歳になった英国人のサラやメリッサは、双子の前でシャンパンを飲んでおり。
やはりそうなると思ってはいたが、母方のダニー叔父さんを初めとする酔っぱらった大人達から、酒を勧められた双子は、
「「18歳は、日本では未成年なんだってばっ!」」
と必死に抵抗したのだった。
「マハシ……美味しい」
ヴィヴィがそう呟いたのは、アラビア語で「包まれた・詰められた」という意味の料理。
味付けしたライスをブドウの葉で巻いたり、ズッキーニやピーマンに詰めた料理。
ロビアンというエビのソテーも、コリアンダーが効いていて美味しくて。
ついつい食べ過ぎてしまいそうになるのを何とか堪え、双子は席を立つ。