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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章
「むにゃむにゃ……。ん……ヴィヴィ……」
寝言を言いながらヴィヴィを捕まえたクリスは、例の如く妹をその胸に抱き込んで、抱き枕代わりにしてしまい。
「~~~っ!? クリスっ リンク、行くんでしょっ!!」
自分そっくりの顔をぺちぺち叩いたり、ほっぺを引っ張ったり、鼻を摘まんだりしていると。
クリスではなく、テラス側に寝ている匠海が起きてしまった。
「…………、何、やってる……?」
普段寝起きの良い匠海でも、さすがに早朝4時では ぼ~としていた。
「リ、リンクに行くの……。今日から、5:00~10:00に借りてるから」
「ああ……。そうだった……」
妹の説明に双子の予定を思い出したらしい匠海は、ベッドから起き上がるとクリスのベッドによじ登り。
ヴィヴィを抱え込んでいるクリスごと、その胸に抱き寄せた。
「クリス~~。起きないと、クリスを抱っこしたまま、寝ちゃうぞ、俺」
「………………」
匠海の脅しよりも、クリスは睡眠欲のほうが勝っているらしい。
「撫でなでしたり、髪の毛梳いたり、耳元で囁いたりしても、いいのか?」
「………………や、だ」
さすがに男にそうされるのは抵抗があったようで、掠れ声で呟いたクリスは、ようやく覚醒してくれた。
「…………ヴィヴィ、何、してるの……?」
自分の腕の中に納まっている妹に気付いたクリスが、そう呆れた様に囁いてきて。
「だ~か~ら~っ クリスを起こしに来てあげたのに、抱き枕にされてたのっ!」
手早く準備し、ホテルのグランド・ロビーまで降りた双子。
まだ真っ暗な外に出て、手配しておいたメータータクシーに乗り込むと、20分でドバイ・モールに到着し。
昨夜も貸切ったリンクで、滑り始めた。
途中、バトラーに頼んで用意してもらっていた朝食を採りながら、各々5時間、みっちり練習したのだった。
ここのリンクはショッピングモールの中に突如現れる造りで、3階まで吹き抜けで天井が高く、滑っていても気持ちが良い。
ただ、モール内とほぼ変わらない室温なので、滑っていると若干暑くはなった。