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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章           

 半歩後ろを着いていくヴィヴィの顔は、熟れたトマトの様にまっかっかだった。

 その小さな頭の中は、匠海と今まで交わしたあんな事やこんな事が映像となり、ぐるぐると駆け巡り。

 そしてきゅぅんと甘く疼く自分の恥ずかしい場所に、ヴィヴィはアバヤの下でくしゃりと顔を歪めた。

「……~~っ」

(ふぇ~~ん……。ヴィヴィだって、早く帰国して……。え、えっちも、したいけど……)

 昨日の早朝。

 クリスに抱き枕にされた状態で、匠海に抱き締められただけで、実はヴィヴィの心臓はバクバクものだったのだ。
 
 兄の広い肩に頬を寄せて、あの逞しい胸の中に抱きすくめられたい。

(でも、家族でずっと一緒にいられる事って、本当に珍しくて嬉しいから、まだ帰りたくないし……。う~~ん、複雑……)

 そんな もわもわした状態で水族館を見学したヴィヴィは、目の前の魚達に感動はするものの、やはりずっと手を繋いでくれる匠海の存在の方が大きくて。

 ちらちら兄の事を盗み見していたヴィヴィ。

 結局、どんな魚がいたのか、あまり覚えていないのだった。








 8月15日(日) ドバイ滞在4日目。

 残すは後1日の滞在となったその日も、リンクへと赴いた双子は、スケートの自主練に励み。

 ホテルに戻り、イルカと触れ合える「ドルフィン・ベイ」で、生まれて初めてイルカと触れ合った。

 それはそれで、一生の宝物になる経験だったが。

(なんというか……、空港とホテルとドバイ・モールしか行って無い……。ま、いいけど……)

 両親や匠海は、双子がリンクに居る時間や就寝後に、街に繰り出しているらしい。

 ドバイといえば、海と砂漠の豪華リゾート――砂漠くらいは行ってみたかったなと思う。

 従兄弟達に「ウォータースライダー制覇しようぜっ!」と、絡まれたクリスと別れ。

 イルカのラグーンで塩でべたべたになった身体を、さっとシャワーで洗い流したヴィヴィは、新たに水着を着けた上にキャミワンピを纏う。

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