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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章
結局1時間半、妹を甘く蕩けさせた匠海は、ヴィヴィに促されて、しぶしぶ一緒に湯を使った。
広いバスタブの中でも、ヴィヴィにずっと擦り寄っていた匠海は、水着と服を着込む間も、妹に纏わり付いていた。
「もうっ お兄ちゃん、ヴィヴィ、服着れないから~~!」
口ではそう可愛くない事を発しながらも、胸の中では悶え捲っていたヴィヴィ。
(か、可愛い……♡ もうっ どんだけ、甘えん坊さんなの~~っ♡♡)
情事の後の心地良い気怠さと、まだ甘い疼きを訴えている自分の奥深く。
その愛おしい感触を抱えたまま、ずっと匠海にしな垂れかかって、抱き締めていて欲しいけれど。
(一時の快楽に流されて、お兄ちゃんと一緒に居られなくなるなんて、絶対に嫌、だから……)
ヴィヴィは心を鬼にして、潤んだ唇を開いた。
「じゃあ、ヴィヴィ……。先に、行くね……?」
すっぽりと頭からアバヤを被ったヴィヴィは、目から下も漆黒の布地で隠してしまう。
兄と一緒に部屋から出て、誰かに見つかりでもしたら。
自他共に認める仲良し兄妹でも、さすがにどう言い訳をしていいか判らない。
「ん……。あ、ヴィクトリア……?」
拗ねた様に廊下の壁に半身を凭れさせていた匠海に、そう呼ばれ。
「なあに?」
不思議そうに兄を見上げるヴィヴィに、匠海は彫りの深い顔をふっと緩めて囁いた。
「来年は、一緒に葉山で泳ごうな?」
「……~~っ!? うんっっ♡」
ぴょんと兄に飛び付いたヴィヴィは、そのままキスをしようと背伸びしたが。
自分がアバヤで目から下を隠していた事に気付き。
苦笑しながらも、そのまま匠海の色素の薄い唇に、自分のそれを布越しに押し付けた。
そしてまたぴょんと離れると、その勢いのまま扉を開いて部屋を出て行った。
誰もいない廊下を、すたすたと早足で進んでいくヴィヴィの頭の中は、もう兄との事で一杯で。