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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章
来年の夏――。
小っちゃい頃にして貰ったみたいに、背中におんぶして貰いながら、泳いで。
砂浜でうとうとする兄の姿を、ちらちら盗み見なんかして。
そして、疲れたらすぐ真上の別荘に戻り、一緒にお風呂に浸かったりなんかして。
「……~~~っ!!!」
(ぃやぁ~~んっ 早く来年の夏に、ならないかな~~っ!)
エレベーターの前でウキウキしながら、箱が来るのを待っていたが。
「あ、そうだ……」
ヴィヴィは思い出したようにアバヤのポケットからスマホを取り出し、高速でメールを打ち込んだ。
『 お兄ちゃん
会う時間作ってくれて 本当にありがとう
お部屋まで取ってくれて
ヴィヴィ 本当にすっごく嬉しかった!
来年の夏だけじゃなくて
これからもずっとずっと 一緒に居ようね?
大好き♡
ううん
大大大大 大好き♡♡♡♡♡ 』
にまにましながら送信したそのメールに、匠海から速攻返されたのは、
『 そういう事は 面と向かって言え 』
端的な突っ込みに、ヴィヴィはエレベーターに乗り込みながら、「くふふっ」と笑いを噛み殺す。
『 だって さっき言ったら
お兄ちゃん 離してくれなかったでしょ? 』
絶倫の匠海の事だ。
一度火が付いたら、何時間も妹を貪り続けるだろう事は、ヴィヴィだって容易に想像がついた。
何せ兄には、数えきれないくらいの前科がある。
『 お前…… 俺の取説 作る気か? 』
兄の返信に、ヴィヴィはロビーを突っ切りながら、アバヤの中で小さく首を傾げる。
(取説……? あぁ、取扱説明書か。うふふっ)
『 篠宮匠海の取扱説明書 作れるくらい
ヴィヴィ お兄ちゃんのこと
もっともっと 知りたいの 』
けれど、その後どれだけ待っても、匠海からの返信は来なくて。
プールにあるプライベート・カバナに辿り着いたヴィヴィは、ビーチベッドに腰掛けながら、その手の中でスマホを弄ぶ。
(…………? お仕事でもしてるのかな。そ、それとも、引かれちゃた……?)
「ちぇ~……。まだまだ、知らないこと、いっぱいだな……」
匠海の喜ぶツボをまだ把握出来ていないヴィヴィは、そう呟くと とぼとぼとプールへと向かう。