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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章           

 リンクのシャワーを借りた双子は、荷物を預け。

 さすがにスポーツウェアでデートは悲しいので、オープンしたモールの中で、各々の洋服を見繕うことにした。

 ヴィヴィがクリスの服を。

 クリスがヴィヴィの服を。

 エスニック調のチュニックに、デニムのホットパンツ姿のヴィヴィを、クリスは「可愛い……」と褒めてくれた。

 一方、どうしてもクリスのカンドゥーラ(中東の男の正装)姿を見たかったヴィヴィは、扱っている店に引きずり込んだ。

 カンドゥーラは、長袖踝丈の真っ白なシャツワンピの様なもの。

 頭にはクゥトラという白い布を被って肩まで垂らし、それをアカールという太い黒紐で頭に固定する。

 渋々着替えてくれたクリスの姿を、ヴィヴィは「似合うっ」「砂漠の王子様みたいっ」と誉めながら、スマホで撮影しまくり。

 意外や意外、その楽な着心地を気に入ったらしいクリスは、値段が5千円と言う事を知ると、購入を即決した。

「ナイトウェアにするか、ハロウィンで、着る……」

「あ! じゃあヴィヴィも、ハロウィンでアバヤ、着よう。そしたら、お揃いだね?」

 両手を叩いてそう嬉しそうに発したヴィヴィに、クリスは瞳を細めて頷いたのだった。

 結局、ピンクのTシャツにグレーのオーバーチェック柄のクロップドパンツ、というヴィヴィの見立てを受け入れてくれたクリス。

 185cm・60kgの細身のクリスによく似合い「可愛い♡」を連呼したヴィヴィは、こちらも写真を撮りまくり。

(後で、ヴィヴィ‘S DIARY に載せよ~っ)

 とご機嫌なのだった。

 そして双子の兄が試着中、ヴィヴィは匠海にこっそりメールをしていた。

『 クリス 彼女にフラれちゃったらしくて……

  今日一日 2人で街 ブラブラしてくる 』

 そのメールに、匠海はすぐに返事を返してきた。

『 分かった

  ダッドとマムには それとなく伝えておく

  クリス 可哀想に……

  ヴィクトリア 元気付けてあげて

  危ない所には 絶対に行くなよ? 』

 クリスはクリスで、母に電話をしていたらしく。

 双子は親族で囲む最後のディナーの時間まで、自由に過ごす事となった。

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