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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章           

 6時間ほど遊び倒した双子は、夕暮れも近くなったのでホテルへ戻ることにした。

 いつもはタクシーで20分の距離を往復していたのだが、クリスがモノレールに乗りたがったので、それで帰る事になった。

 預けていた荷物をリンクに取りに戻り、無人のモノレールに乗り込んだ2人。

 高架の上を走るモノレールからは、ホテルのある人口の島――パーム・アイランドのヤシの木の形も、少し把握出来た。

 先頭車両に乗り込んでいた双子は、じっと真正面を見つめる。

 まるで空の上を飛んでいる様にも感じるそれは、その直線状にある滞在先のホテルへと向かっており。

 巨大なピンクの城の如き建物の真ん中に、ぽっかり開いた尖塔状アーチ。

「まるで、吸い込まれていくみたい……」

 そう囁いたヴィヴィに、クリスはその手を握り頷いた。

「うん……」

 ホテルに空いた巨大なアーチと、その先に続く青い空と碧い海に。

 瞳を細めて見惚れていると、モノレールは終着駅である滞在先のホテルに到着した。

 荷物を引いてホテルへと戻る道すがら、だんだんとクリスの歩く速度が落ちていき。

「どうしたの、クリス……?」

 心配になって顔を覗き込めば、クリスはまだ遊び足りない少年の様な、不貞腐れた表情を浮かべていた。

 いつも無表情に近いクリスが、そんな顔をするのがとても意外で。

「もうちょっと、遊ぶ?」

 ディナーは20時からで、まだ2時間ほど自由に出来る時間はあった。

「うん……」

 そう頷いたクリスの表情は、いつもの落ち着いたそれへと戻っていった。

 ホテルのクロークに荷物を預けた双子は、880mもの長さを誇る人口プライベートビーチを散歩する事にした。

 その道すがら、ヴィヴィは昨夜家族でディナーを採った、イタリアンのリストランテを見つけ。

(ふむ……)

 何かを思い付いたヴィヴィはクリスの手を引き、ディナータイムの準備中のリストランテへと足を踏み入れた。

「お客様? 当店の営業時間は18時からとなりますが?」

 声を掛けて来た、テーブルセッティング中のウェイターに、ヴィヴィはフロアの中央に据え置かれたグランドピアノを指差した。

「あれ、弾かせて貰えませんか?」

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