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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章
昨日、昼過ぎにリンクを出たヴィヴィは、これからアレックス達と会うというクリスと別れ、カレンの家に向かった。
スーク(市場)で見つけたカラフルなアラビック・ランプに、ラクダミルク・チョコレート、ラクダのぬいぐるみ、をお土産として持って行ったヴィヴィだったが。
「で、ラクダ、見たの?」
というカレンの問いに「み、見てないんだな、これが……」と凹んだ。
久しぶりに会う2人は話も弾み、カレンの部屋でお茶していたのだが。
ずっと気になっていた事を、ヴィヴィは意を決して確かめる事にした。
「あのね、カレン……。クリスのこと、好き……?」
BSTの卒業プロム。
クリスと行きたがったカレンは「クリスの事を男として好き」と認めていた。
「え……? あ、……うん」
ヴィヴィの唐突な問いに、驚いた表情を浮かべながらも、カレンはすぐに頷いた。
「実は、クリス……。1ヶ月半前に彼女が出来て……。で、別れたばっかり、なの」
“花梨ちゃん” とお付き合いを始めたと知った時、ヴィヴィはカレンに言うべきか迷ったが、結局伝えていなかった。
「……そっか……」
そう相槌を返してきたカレンは、特に驚いた様子も無く。
「カレン……。告白とか、しないの?」
ヴィヴィが静かな声で発した問いに、カレンは金色の頭を横に振る。
「絶対に、振られるって、分かってるから……」
「え……?」
(な、なんで……?)
驚いた表情を浮かべるヴィヴィに、カレンはお土産のラクダのぬいぐるみを手の中で弄びながら続ける。
「私は、たぶん、近過ぎるんだと思う……」
「……近い……?」
「幼馴染で、元クラスメイトで、妹の親友だし」
カレンの言葉に、
「クリスの一番の女友達、だし?」
そう続けたヴィヴィ。
「……うん。クリス……、時々、メールくれるの。「元気?」って、何てことない、メールなんだけど」
「そっか……」
ヴィヴィの親友のカレン、クリスの親友のアレックス。
この4人は本当に幼少の頃から、いつも行動を共にし。
それはBSTを卒業した今でも、変わらない。
「優しいよね。ほんと、困っちゃう……」
「………………」
泣き笑いの様な表情を浮かべるカレンに、ヴィヴィはもう何も言葉にならなくて。