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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第107章           

 しばらく続いた沈黙の後、先に口を開いたのはカレンだった。

「ヴィヴィ……。私、サークルの先輩から、交際、申し込まれてるの」

「え……? あ~、カレン。昔からよく、告白されてたもんね!」

 モデルの様に背が高くて美人のカレンは、BSTでも頻繁に告白されるモテ女子だった。

「付き合ってみようかと、思って……」

「……そう」

「好きになれそうな、気がするの。素敵な人、だし……」

 カレンのその言葉に、ヴィヴィはデジャブを覚え、微かに眉を顰める。



『……好きになれれば……と思って、付き合ったけど……』

 ドバイのリンクで、そう口にしたクリス。

『……好き、に、なれなかった……?』

『ん……』



「………………」

(背中を押すべき、なのだろうか……。新しい恋の可能性に賭けろ、と……。それとも、当たって砕けろと、クリスへの告白を勧めるべき……?)

 ヴィヴィは心の底から、カレンとクリスにうまく行って欲しいと思っている。

 大好きな2人が恋人同士になってくれたら。

 そして、互いに幸せになってくれたら。

 ヴィヴィにとっては嬉しい事この上ない。

 けれど、

「そっか。うん。がんばれ! ヴィヴィ、応援する!」

 ヴィヴィが選んだのは、前者だった。

「ん。ありがと」

 静かに頷いたカレンは、ぬいぐるみを胸にギュッと抱き締めた。

「えっと、恋愛経験値 底辺のヴィヴィじゃ、役に立てないかもしれないけど……。ま、恋バナ聞くくらいは、ヴィヴィにも出来るからさ?」

 そんな情けない事を言ってくる親友に、カレンはやっと微笑んでくれたのだった。

「ふふ、ありがと。ヴィヴィ」



「ヴィヴィ……?」

 すぐ隣から掛けられた声に、ヴィヴィは追憶から呼び戻され、はっと隣を振り向く。

「あ……。なあに、クリス?」

「ん。結弦君と知子(さとこ)ちゃん……。もうすぐ着くって……」

 スマホを手にしながらそう言ってくるクリスに、ヴィヴィは頷いて笑顔になる。

 今日のバラエティー番組の収録には、双子の他に、

 羽生(はぶ) 結弦

 宮平 知子

 そして、プロに転向した、

 村下 佳菜子

 高畑 大輔

 その6名が “フィギュアチーム” として参加し、ジャニーズのグループとスポーツで対戦する。

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