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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第108章          

 9月に入り、夏休みも残りひと月となった頃。

 ヴィヴィは相も変わらず、忙しい日を送っていた。

 匠海の付添いで “東京経営者協会 懇談会” にお邪魔したり。

 初戦のジャパンオープンの、番宣番組に出たり。

 “コーチと双子でのトーク番組” が組まれたり。

 そして、新潟での Fantasy on Ice 2020への参加。

 そんな忙しい状況でも、習い事やスケートは手を抜かず。
 
 特に一番頑張ったのは、自動車教習所 通い。

 10月頭には何とかかんとか双子共、MTの免許を取得したのであった。
 
 シーズンインする10月に向け、着々と調整を進める最中でも、匠海と葉山の別荘にお泊りに行く時間も持てて。

(いやぁ~~、公私共に、充実した9月だったなぁ……)

 そう怒涛の9月を振り返るヴィヴィの周りには、ちびっこがわらわら集まり、「遊ぼう、あそぼうっ」と纏わり付いていた。

 10月2日(土)の今日、ヴィヴィはリンクから児童養護施設 新緑寮に直行していた。

 求められるがままにドッジボールや鬼ごっこ、隠れんぼをしていたヴィヴィだったが、子供達が若干引く程のはしゃぎっぷりで。

「まあ、また来いよ、ヴィヴィ。遊んでやるよ!」

 と送り出された頃には、遊び疲れてヘトヘト。

 そして、何故か小学生にモテモテ(?)のヴィヴィなのであった。

 10月7日(木)からは、大学の後期授業か始まり。

 その週末には、ジャパンオープン2020が、埼玉スーパーアリーナにて開催された。

 欧米チーム、欧州チーム、日本チームに分かれ、男女シングル2名ずつ(プロアマ混合)の計4名で戦うそれ。
 
 今シーズンのFPを初めて披露した双子は、そこで得た評価を元に、調整と改良を行ったのだった。

 10月17日(日)。

 夕刻の篠宮家の防音室には、ヴィヴィの他に男性が2名いた。

 高等部に上がってからお世話になっている、年配のヴァイオリン講師が連れてきた、若い男性。

 なんでも、ヴィヴィの講師は来月を以て還暦で大学教授を退官し、ドイツへの移住を考えているらしく。

 そうなると空いてしまうヴィヴィの講師枠に、自分の大学出身の彼を――と連れて来たらしい。

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